更新日:2024年05月07日 17:14
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知らないと死ぬ!人間が生きるために「水、食事よりも必要」な最優先事項とは

―[死なない技術]―
人間が生存するために必要な要素を優先順に並べたものを、「セイクレッドオーダー」という。危機的状況に陥ったときに死なないためには、生存するための優先順位を知っておき、生存計画を立てることだ。第一に確保するべきなのは「体温」。そのために必要なのはまずウェアリング、そして、気温が下がり危険が増す夜の過ごし方を、『災害からテロ、ミサイル攻撃まで まさか⁉の非常事態で「死なない技術」』 (扶桑社ムック)の著者で、自衛隊危機管理教官の川口拓氏に解説してもらった。
死なない技術

『災害からテロ、ミサイル攻撃まで まさか⁉の非常事態で「死なない技術」』 (扶桑社ムック)

死なないための優先順位は、空気と体温確保から

 人間が生存するために必要な要素を優先順に並べたものを、「セイクレッドオーダー」という。この法則はアウトドアにも災害時にも当てはまるものなので、ぜひ覚えておいてほしい。危機的状況に陥ったときには、この順番を意識して生存計画を立てるようにしよう。
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人は低体温になると3時間で死ぬ。一方、水は72時間、食は3週間~30日間の猶予がある

 まず確保しなければならないのは「空気」で、これがないと3分で命を落とす。空気が不足することはあまりないだろうが、火災が起きればそういう状況もあり得る。  2つ目は「体温」。命を落とすまでの時間の目安は3時間。夏でも濡れた状態で風にあたると急激に体温を失う。実際、アウトドアでの死亡の原因のほとんどは低体温症によるものである。  3つ目は「水」。人間が水を飲まずに生きられる時間はおよそ72時間。それまでに何らかの方法で飲料水を得なければならない。  4つ目に「火」が入るのは意外かもしれないが、調理をする熱や明かりとなる光が得られる火は、人にとってとても重要なものだ。 「食」は5番目。実は人間は食料がなくても3週間から30日は生き延びることができる。それだけ余裕があるので、優先順位としては最後になる。
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ここでは解説しないが、体温確保にはシェルターをつくるのも有効だ

体温を逃さない「ウェアリング」の技術

 緊急事態で優先するべきは、「獲得する」ことよりも「保持する」こと。これは体温も同じで、焚き火などで体を温めることを考える前に、自分の体温を逃さないことを考えるべきだ。 体温を逃さない3カ条は、 ① 濡れない ② 風に当たらない ③ 冷たいものに触れない こと。  そのために大切なのが、衣服の重ね着「ウェアリング」の技術だ。アウトドアにおいては、体温を保持するため、また、快適な着用感を得るために、3層のレイヤリングという考え方で衣服を重ね着するのが効果的である。  3層とはすなわち、体感温度を高める下着層、体から出る体温を逃さず溜めておく滞留層、そして一番上になるのが外部からの風や雨を防ぎながら、体温を逃さないようにするカバー層のこと。
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アウトドアでの体温確保の基本とされる「3層のレイヤリング」

 アウトドアウエアには、汗をかいても冷たくならない吸汗速乾性に優れる下着や、雨は防ぎながら衣服内の湿気は外部に放出する防水透湿素材のジャケットなど、機能的なものがたくさんあるので、それらを利用するのもいいだろう。
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スタッフバッグなどに乾いた落ち葉をつめて衣服内に入れるというアイデアもある。これも暖かい

 しかし、日常生活で災害に遭遇したとき、機能的なアウトドアウエアや暖かいダウンジャケットなどを持っているとは限らない。そこで私は薄手のレインコートと新聞紙を、普段からバッグに入れている。簡易的な防寒ウエアをつくることができるからだ。
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レインコートにくしゃくしゃにして空気をふくんだ新聞紙を詰めると、防寒着となる

 背中側にも均一に新聞紙を入れるのが難しく、着用するのに少しコツがいるので、非常時に戸惑わないよう、ぜひ平時に試しておいてほしい。見た目は悪いが、その暖かさにきっと驚くはずだ。
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横たわって着用することで背中側に均等に新聞紙を詰められる。新聞紙のすき間ができないよう注意

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体温を維持して夜を乗り越える技術
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1990年代よりカナダ、アメリカのサバイバルスクールでサバイバル技術やネイティブアメリカンの古来の教えを学び、2001年にブッシュクラフトやサバイバルの技術を伝える自然学校「WILD ANDNATIVE」を設立。地球とのつながりを感じる自然体験プログラムを実施している。2013年に一般社団法人「危機管理リーダー教育協会」を設立。執筆活動、テレビや雑誌などのメディア協力も積極的に行い、技術を広く共有している。CMLEブッシュクラフトインストラクター養成トレーナー、Japan Bushcraft School校長、Japan Urban Survival School校長、自衛隊危機管理教官、自衛隊サバイバル教官
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