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原氏と比べて“我慢ができない”阿部監督。印象的だった「丸の送りバント」

「捕手出身」の視点を活かした投手運用は悪くない

野手の起用法は疑問がわく一方で、投手の起用は素晴らしい。まずは、菅野智之と小林誠司の“スガコバ”のバッテリーを復活させたことだ。菅野は全盛期に近いピッチングを見せている。 リーグ優勝を果たした2019年のように小林を上手く使うことで、近年正捕手だった大城卓三を休息を与えられる。この2人をバランスよく運用していくことは、上位を争ううえでのキーポイントになるはずだ。さらに、前年からの大きな課題だったリリーフ陣を整備し、当面「勝利の方程式」の面々は3連投を避ける方針を示している。 オリックスを指揮する中嶋聡氏のように、捕手出身だからこその視点で投手陣が整備されつつある。実績がある投手の負担が軽減され、夏場にベストな形で戦うことができれば、4年ぶりのリーグ優勝も見えてくる。

原氏の1年目はどうだったのか

さて、前任の原氏は巨人の歴代監督としては最多となる監督通算1291勝を記録している。原氏の指導者としてのキャリアは、解説者を経て現場に復帰。ヘッドコーチから長嶋茂雄氏の後を引き継ぐ形となった。長嶋氏の感覚的な采配を継承するように就任1年目はアグレッシブなマネジメントを見せていた。 長嶋政権時、対左投手の試合で出番が少なかった清水隆行を1番打者として抜擢。期待に応えた清水は最多安打のタイトルを獲得し、申し分のない活躍ぶりを見せた。 また、阿部氏を正捕手としてスタメンに固定したことも見逃せない。我慢して起用し続けた長嶋氏の意思を引き継いだのだ。結果的に原氏政権下において、欠かせない大黒柱として君臨するようになった。 投手陣も、先発として伸び悩んでいた河原純一をリリーフに配置転換。これがハマり、シーズンを通して安定したピッチングを見せ、キャリアハイとなる5勝2敗28セーブ防御率2.70を記録した。
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常勝を求められるとはいえ…
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野球評論家・著作家。これまでに 『巨人軍解体新書』(光文社新書)・『アンチデータベースボール』(カンゼン)・『戦略で読む高校野球』(集英社新書)などを出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を過去に連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブンなどメディアの取材も多数。Yahoo!ニュース公式コメンテーターにも選出。日刊SPA!にて寄稿に携わる。Twitter:@godziki_55

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