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働くのは週に2~3回だけ、山奥で悠々自適に暮らす28歳の生活。月収8万円でも貯金できる秘訣とは

バイト先のキャンプ場に住み込み

 そして’21年、ろっさんは一切の迷いなく仕事を辞めた。 「キャンプ場のバイトは時給1000円で一日7時間。週に3回働くと月8万円ほどになります。これは僕にとっては稼ぎすぎなんです。なぜなら、年収67万円以下だと年金が全額免除になるから。そのうえ、このまま年金全額免除を貫くと、保険料を全額納めた場合の年金額の半分を将来もらうことができます。いかに税金を安くするかが、ニートには重要です」
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狩猟免許も取得したというろっさん。昆虫採集だけではなく、山で捕まえた鹿を解体して料理するのも楽しみのひとつだ

 山奥生活の月の支出は5万円ほど。元来の「ドケチ」な性格のおかげで、この生活でも貯金ができている。  食費に限っては月に7000円ほどだそうだ。主に激安スーパーで食材を購入し、自炊している。狩猟免許も取得し、鹿を狩って自分で処理をして食べたり、虫を捕って素揚げにして食べたりもしているそうだ。 「地元の人が『若いヤツが住み込みで働いているのなら』と、米や野菜を差し入れてくれることもあります。キャンプ場のオーナーさんも僕が週に数回しか働かないことに理解を示してくれています。僕の生活は人からの好意で成り立っている部分もありますね」

収入が低いことは‟恥ずかしくない”

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ろっさんが住んでいたキャンプ場の部屋。月収が増えないようシフトを調整。仕事も会社員時代に比べると楽だった

 休みの日は部屋でゲームやネットサーフィンをしたり、自転車で一日かけて遠出したりして過ごしている。収入が低いことに関して恥ずかしいという感情は本人には一切ないという。 「ぜいたくをしたいという気持ちがないわけではありません。しかし、そんなことよりも労働をせずに自由に暮らしたいという気持ちのほうが圧倒的に強い。働いた分だけ僕の限られた時間が汚されていく感覚があります」  山奥でできることはある程度やり尽くしたため、現在のキャンプ場のバイトは一旦辞めるというろっさん。今後は自転車で日本全国を放浪する生活に切り替える。  その中で腰を落ち着けてもいいと思える場所が見つかれば、再び「ゆるバイト生活」に戻るかもしれないとのことだ。どちらにせよ、「極力働かない生活」はこのまま死ぬまで続けていく所存だという。 240426取材・文・撮影/藤中一平
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