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怪しすぎる中国の「バイアグラ酒」を飲んでみた!

バイアグラ酒

バイアグラ酒

 iPadから日本の地名に至るまで、様々な商標権を横取りしている中国で、勝手に「バイアグラ」と名乗る不届きな商品があると聞き、実物を入手して調査を敢行。すると驚愕の事実が判明した! コンビニの商品棚であっさり見つけることができたその偽バイアグラは錠剤ではなく、なんとお酒で、125mlの小瓶で値段は16元(約200円)。正式な商品名は「鹿茸酒」。鹿茸とは、ロクジョウと読み、鹿の角袋を乾燥させた漢方薬で、滋養強壮に効果があるとされている。ちなみにワシントン条約で取引が禁止されているので、残念ながら生薬の鹿茸は日本に輸入することはできない。  さて、まずはボトルを見てみよう。ラベルにはしっかりと「Viagra」と、中国語でバイアグラを指す「偉哥」が併記されている。この時点で立派な商標権侵害だ……。  さらにラベル書かれた原料に目をやる。するとそこには、鹿茸のほか、鹿血(鹿の血液) 鹿鞭(鹿のペニスと睾丸) 狗腎(狗のペニス)などとかなりイカツイ名前が並ぶ。 いかにも効きそうではないか……。本家バイアグラの主成分は化学物質「クエン酸シルデナフィル」だが、こちらは生薬由来なのである。また誇らしげな「中国長白山系列 産品交易会金賞」との文言も発見。。さしずめ、中国版のモンドセレクションのようなものだろうか。 【拡大画像】⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=200238

堂々とバイアグラと書かれているが

 毒食品も溢れる中国のこと、安全面で最低限の信用がおける商品なのかどうか、試飲の前にネットで調べてみることにした。ラベルに書かれていた販売元「吉林市華僑医薬 保健食品本工場」を、中国最大の検索エンジン百度に打ち込む。そこで出てきた情報によると、この会社は従業員1万人を抱える大企業のようだった。さらに検索結果には、「吉林国有企業名録」というページも表示されていた。さっそく開いてみると、同社はそこに名を連ねているではないか!  国有企業が米ファイザー社の商標権を侵害し、さらに金賞まで受賞している。この「飲むバイアグラ」の闇はかなり深そうだ。  ともかく意を決して封を開けてみる。すると、どこか心当たりのある香りが鼻をついた。東京浅草の神谷バーの名物「電気ブラン」の香りである。馴染みのある香りにさらに安心しながら、次は口に含んでみる。するとその味もやはり電気ブランを彷彿とさせるものだった。ただごくりと飲み混むと、アルコールとは別の、生薬特有の刺激を喉に覚えた。ちょうど、電気ブランにユンケルを混ぜて飲んでいるような感じである。

腎、血、鞭(ペニス)……イカつい原材料名が並ぶ

 ボトルの4分の1ほどを飲み様子を見てみたが 体にこれといった変化はない。もちろん本物のバイアグラのように、下半身が元気になることもない。量が足りないせいかもしれないと思い飲み進めていると、ついに反応が現れないまま一本空けてしまった。そのうえ、立派に酔っぱらってしまった。それもそのはず、ラベルを見るとアルコール度数は35度だ。ウィスキーの水割りにして3杯分ほどのアルコール量を摂取したことになる。酒に弱い人にとってはセックスどころではない。  結局、翌朝まで口の中から電気ブラン×ユンケルの臭いが消えなかった。 仮に下半身がギンギンになったところで、強烈な口臭を前に女の子に嫌われるのがオチだろう……。まったく不思議な飲み物である。 【取材・文/ドラゴンガジェット編集部】 ガジェット好きのライターや編集者、中国在住のジャーナリストが中心メンバーとなり、2012年1月から活動を開始。東京と深セン、広州を拠点に、最新の話題をお届けする。
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