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パチンコをヤメたオッサンたちの主張。萌え系無理、複雑すぎる、出玉が少ない――大反響・仰天ニュース

難解なスペックについていけない

「初めて打つ台はスマホ片手にスペックや演出の解説を読みながらじゃないと打てないなんておかしい。そんな面倒だったり難解なスペックやゲーム性に追いつけないよ……」  呆れ気味な口調で話をしてくれたのは、会社員の寺田一樹さん(仮名・50歳)だ。 「パチスロを覚えたのは大学生の頃。友達に誘われてパチ屋に連れていかれたんだけど、何にもわかんないままパチスロの島を歩いてたら、友達が『コレ、入ってるわ』って打たされたのがニューパルサー。そしたら1G目に7が揃ってね。結局、ビギナーズラックで3万円くらい勝って、それがハマッたきっかけ」  大量リーチ目で一世を風靡したニューパルサーは、200以上とも言われるリーチ目を搭載していた。中にはコレでボーナス?というようなマニアックな出目もあったため、知らずに放置される台も珍しくはなく、「リーチ目拾い」をする者がホールをウロつくこともめずらしくなかった。寺田さんの友人はそうした放置されていた台を見つけてパチスロデビューした寺田さんに譲ったというわけである。  凝り性の寺田さんはその後、雑誌や攻略系の本を買い漁って勉強し、せっせとリーチ目を覚えてパチンコ屋へ通い、雑誌を読んで覚えたリプレイハズシなどを試すなどしてパチスロと戯れる青春を送ったのだとか。

攻略誌を読んだら頭が痛くなった

 そんな寺田さんがパチスロと決別したのは爆裂5号機がホールを席巻した2014年頃だった。 「4号機から5号機に移行した2007年くらいから仕事が忙しくてほとんどパチスロを打ってなかったし、5号機は出ないっていうイメージが強かったからほぼ“引退状態”だった。そしたら同僚が『今の5号機は4号機に引けを取らないくらい出る!』って飲みながら話してきたんだよ。ちょうど仕事も落ち着いて余裕も出てきたし、そんなに出るなら久しぶりにパチスロを……って。で、久しぶりに攻略誌買ったんだけど、もう、内容が理解できなかった(笑)」  完全に“浦島太郎状態”の寺田さんは「解析ページ見てたら頭が痛くなってきた」という。だが、なんとか予習して打ちに行ったのだが……。 「チェリー引いたから高確状態? モード移行率? ボーナス後はどれだけ回さなきゃダメ? 天井は?って、わかんねぇことばっかだから、スマホ片手にずっと打ってさ、もう疲れちゃった。たぶんこういう考えになるのって、継続的に打ってなかったからだと思うんだ。ずっと継続して打ってたら新しいゲーム性にも慣れて楽しめたのかも。  でも、それをさっ引いても正直、パチスロの内部仕様は複雑になりすぎたと思う。攻略誌やネットに出回ってる解析を読んでると頭が痛くなるレベル。強チェリー時の20%でチャンスゾーン、30%で高確率ゾーン、10%で超高確率準備ゾーンで……とか。昔は『知っていたら得をする』でだったけど、今は『知ってることが前提』になってると思う。前兆の演出や熱いゾーンとか知らずに打つと大やけどする仕様って明らかに初心者とか、ライトユーザーにとっては参入障壁でしかないよ」  では、昔のようなボーナスを主体にした仕様に戻ったらまた打つのかという質問に、寺田さんは「もちろん」と即答した。 「フラッと入って、気軽に打てるからパチンコ、パチスロはファンを獲得できたと思う。複雑じゃないからオッサンもおぱちゃんも対応できたしハマれたと思う。オレが今、20代だったら今のゲーム性や内部仕様ってハマれたかもしんないけど、やっぱ年取ってくるとさ、シンプルがいいんだよ、シンプルが」  シンプル・イズ・ビューティフルということか。
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業界はオッサンの声に耳を傾けるべき
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グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター

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