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生ジョッキ缶のアサヒ、レモンサワーにも“生感”を追求。「本物のレモンを缶にいれる」新商品の正体とは

糖でコーティングしたレモンを乾燥

アサヒビール株式会社

未来のレモンサワー。オリジナルとプレーン

 通常、新商品開発には1~2年の期間がかかるが、未来のレモンサワーはテスト販売までに2年、発売までさらに1年半と、合計3年半もの時間をかけている。高い品質を実現するためには相当の苦労があったとか。 「アサヒビールの歴史においてもRTDに固形物を入れるのは初めてでした。そのため品質管理や新しい技術の導入など、すべてイチから考えなければならず、越えなければならないハードルが非常に多かったです。とりわけ生のレモンスライスを使うことで、品質管理が非常に難しくなりました。微生物を発生させない工夫が必要で、最終的に糖でコーティングしたレモンを高温と低温で2度乾燥させることで品質の劣化を防ぐこととうま味成分をとじこめることに成功しました」  そうした生まれた未来のレモンサワーを、昨年5月にアサヒビールが運営するテスト販売サイト「ASAHI Happy Project(アサヒハッピープロジェクト)」で販売したところ、これまでにない大きな反響を得たという。 「テスト販売では、通常1か月ほどで売り切れることが多いのですが、未来のレモンサワーは1700セット(6本入り)が2週間で完売しました。購入者へのインタビューでも、レモンスライスの驚きや味わいに対する期待が高かったため、量産化に踏み切りました」

寝かせることで味わいが変化

アサヒビール株式会社

渋谷PARCOで開催する「(no)more future bar」では人型ロボットが提供してくれる(~6月16日まで)

 未来のレモンサワーには、ほどよい甘さでレモンの果実味と爽やかな苦みが感じられる「オリジナルレモンサワー」と、サワー液に糖も香料も使用せずレモンをダイレクトに味わう「プレーンレモンサワー」の2種類がある。価格はいずれも298円(税込み)。これもテストマーケティングの結果、生まれたそうだ。 「テスト販売時にはオリジナルレモンサワーのみでしたが、ユーザーからの反応で、レモンのジューシーな果実感だけでなく、自然なレモンの味わいを求める声が多くありました。前者のニーズはオリジナルレモンサワーでお届けできていると思いましたが、後者のお客様の声に応えるため、甘みのないプレーンレモンサワーを新たに開発しました」  レモンスライスの形も1本、1本少しずつ異なっており、個性のある味わいを楽しむことができる。おすすめの飲み方はあるのか。 「飲み終わった後にレモンスライスをかじって楽しんでいただけると嬉しいです。収穫後に薬剤を使用しないポストハーベストフリーで高品質なものを使用しているので、安全に召し上がれます。皮の苦味や香りも楽しめると思います。少し寝かせてレモンの風味が浸透した状態で楽しむこともでき、大体3か月から半年で味わいが変わりますので、ぜひ試してみてください」
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全国展開は未定
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