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“過激な僧侶”のイメージが強い日蓮は「スーパー人生相談回答者」だった!? 手紙から読み解く日蓮の本当の姿

現役弁護士も、日蓮のアドバイス力に驚愕

それは、日蓮の手紙を読んで感じる意外さとも同じだと思います。フランスの社会学者で哲学者のラファエル・リオジエ氏(一九六七〜)も、日蓮の手紙を読んで、「日蓮について、これまで国粋主義者、右翼だと聞かされてきたが、手紙を読んで全く異なっていることに驚いた」とコメントし、相手に応じた人間性豊かな文章で書かれた手紙に関心を深めています。 『法華経』の信仰ゆえに、問注所に不当に訴えられ、召喚された信徒に対して与えた手紙では、原告の挑発に乗らず、冷静に穏やかな言動で対応するように具体的な指示を与えています。今日の今日、出頭すると聞いたので、長い文章では読む時間がない、そこで、簡にして要を得た忠告をしています。その手紙を読んだ弁護士さんが、「私たちが裁判に臨むに当たってアドバイスすることと同じことが書かれています。私も、弁護士として裁判に臨む時に日蓮さんからアドバイスを受けたいほどです」と言ってこられたのには、日蓮のすごさを改めて教えられた思いでした。

現代にも通じる日蓮の「スーパー人生相談回答者」ぶり

翻訳家の池田香代子さん(一九四八〜)と『日蓮の手紙』について対談した時も、「日蓮は、一人であらゆる悩みに答えている。あらゆることを兼ね備えている日蓮は、あらゆる問題に精通した〝スーパー人生相談回答者〟と呼ばせていただきますね」と語っておられました。 小説家の安部龍太郎さん(一九五五〜)も、拙著『日蓮の手紙』について、「植木氏は〔中略〕日蓮の手紙に込められた相手への思いやりや労わり、悟りに向かわせたいという配慮をあます所なくとらえている。落ち込んだときに読むとこちらも励ましてもらえるので、折に触れ手に取っている」と、「日刊ゲンダイ」の週刊読書日記(二〇二一年十一月九日付)に書いておられました。 日蓮の時代と、現在は八百年の時間差があるものの、現代の私たちに、そのまま当てはまることが多く、日々の暮らしのアドバイスとして生きる勇気や、自信が得られること請け合いです。
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『まんが! 100分de名著 日蓮の手紙』より
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まんが! 100分de名著 日蓮の手紙 まんが! 100分de名著 日蓮の手紙

800年の時を超えて「いま」に届く
生きるのが楽になる日蓮のメッセージ

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