“新入社員キャラ”を演じる新入社員にナメられるな!
「平成生まれの不況しか知らない世代」「ゆとりド真ん中世代」「震災以降初めて就職する絆世代」。一般的に競争が大嫌い、保守的と言われるこの世代。ライターの速水健朗氏は、その傾向を確かに認めつつも、「この世代は、その場その場に最適化する“キャラ”を擬態するクセがあるので、額面通りに受け止めてはいけません」と釘を刺す。“キャラ擬態”って、一体どういうこと?
「’12 年入社世代は、幼いときからネットに触れてきたデジタルネイティブ。特に最近では、基本“いい人”を求められるFacebookをはじめとした複数のSNSを使い分けているため、求められているキャラを演じ切るクセがある。なおかつ少子化世代ゆえ、子供のときから一人で大勢の大人に囲まれて、『人の顔色を窺う』言動が身についています。当然、就活ではみんながみんな“就活キャラ”で来るため、個々人の個性が出ず、面接官が同じ質問を何度もして、本当のキャラを探るのに手を焼いたほどです」
ちなみに、今年、新入社員が企画して話題になった「新入女子社員がバージンロードを歩いていくとその先に社長が待っている」というネスレの入社式も、「キャラ擬態」の可能性があるとか。
「結婚願望、終身雇用願望が強い世代と言われているので、その通りのキャラを演じたのではないでしょうか」
一事が万事この調子だから、各部署に配属されても、「各部門に最適化したキャラをつくり込んで現れる」可能性は高い。
「こちらに気を使っての適応ならかわいいですが、『どうせ1杯目の乾杯でビールを頼まないのでしょ?』という憶測を見越した『カクテル注文』や、『二次会は帰るんでしょ?』という諦めに乗っかった『一次会帰り』など、空気を読みすぎた結果の気ままな振る舞いが横行している可能性も(笑)」
それにしても、“キャラ擬態”で人間関係をやり過ごそうとは、人をナメている気もするが……。
「ええ、ナメてますよ(笑)。それが最大の特徴かもしれませんね」
面倒くさくても、タマネギの皮をむくように深層のキャラクターを引き出していくことでしか、信頼や好意を勝ち取ることはできないようだ。
【速水 健朗氏】
ライター。パソコン雑誌編集者を経て、’01年よりフリーランス。『ラーメンと愛国』など著書多数。TBS『文化系トークラジオLife』、NHK『NEWS WEB 24』などに出演中
取材・文/青山由佳 加藤カジカ 佐藤留美 藤村はるな 牧野早菜生(本誌) 撮影/渡辺秀之 アンケート協力/メディアパーク
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