更新日:2024年07月24日 17:31
仕事

結婚披露宴では「他人の友人スピーチ」も…サクラ歴10年のベテランバイトが語る“知られざる修羅場”の数々

某プロレス団体「今日初めて来た人?」→ほぼ全員が挙手

プロレス試合でサクラ 筆者がサクラのバイトを始めたばかりの10年ほど前は、サクラといえば結婚式出席の仕事がほとんどだった。ある年の6月には赤の他人の結婚式に2日連続で出席し、1日目には新郎友人として余興でウルフルズの「バンザイ」を歌い、次の日には友人代表スピーチをしたこともある。  しかし、コロナ禍によって結婚式の仕事は皆無となり、入れ替わるように増えたのが、音楽ライブや演劇などのエンタメ系のサクラである。つまりお客のフリをしてライブなり演劇なりに参加するわけである。  チケット代はおろか、ギャラを払ってまでお客を集めなければならない事情--。それにはエンタメ界の慣例となっている「チケットバック制」が大きく影響しているようだ。チケットバック制は出演者のギャラの管理だけではなく、出演者1人ひとりの集客力を測る目安にもなっているらしい。そこでサクラの出番となるわけである。  エンタメ系のサクラで印象深いのが、某プロレス団体の興行を観に行ったときである。会場のある新木場の駅前に集められたサクラはその数30人以上。登録スタッフだけでは足りず、サクラの友人、知人にまで参加の呼びかけが行われた。  メインイベント前、リングアナウンサーも務める団体代表が客席に問いかける場面があった。 「本日、当団体の大会を初めて見に来たというお客さん、手を挙げてくれますか?」  ほとんどすべての客が手を挙げたのは言うまでもない。
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企業の「社運を賭けた一日」に思い入れもなく参加
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ライター。体験・潜入ルポ、B級グルメ、芸能・アイドル評などを中心に手掛ける。X(旧Twitter):@bonnieidol

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