仕事

手取り15万円、ブラック職場…半年以内に1割が辞める「定年自衛官」のキツすぎる再就職事情

損保業界では示談交渉役として重宝

定年自衛官再就職物語

松田小牧『定年自衛官再就職物語 – セカンドキャリアの生きがいと憂うつ -』(いずれもワニブックスPLUS新書)

 松田さんの話を聞いて、さらに意外性があったのは、幹部では損害保険会社に行く人も少なくないという点であった。 「交通事故でけが人が出た場合、示談交渉の役回りで重宝されます。当事者はともすれば感情的になっているので、現役時代に培った忍耐力や合理的思考が活きてくるのですね。何が正しくて、何が正しくないのかを判断して、押し通す力量が元自衛官にはあると、損保業界では定評があるのです。  社内で先輩格にあたる元自衛官からの教育システムが確立されているのも、結構大きいポイントだと思います。それで安心して就職しやすいのです」

再就職では苦労する戦闘機パイロット

 ひと口に自衛官と言っても、陸、海、空があり、さらに細かく職種が分かれている。出自によって、再就職先が広がることもあれば、限定されることもあり、明暗は分かれるようだ。 「空自では花形職種である戦闘機パイロットは、民間では活かしにくく苦労することがあるようです。自衛隊の輸送機を操縦したのであれば、民間の輸送機パイロット、ヘリコプターであれば、民間のヘリパイロットの道が開けています。でも戦闘機を操縦できるスキルは、つぶしがなかなかききません」
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安い給料で退職する元自衛官は少なくない
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ライター、写真家、ボードゲームクリエイター。ちょっとユニークな職業人生を送る人々が目下の関心領域。そのほか、歴史、アート、健康、仕事術、トラベルなど興味の対象は幅広く、記事として書く分野は多岐にわたる。Instagram:@happysuzuki

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