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オフィスの冷房は「28度以上」、スマホの充電は「1日2回」。経費削減を“やりすぎた”50代女性経理社員の末路

冷房が「28度以下禁止」、スマホの充電は「1日2回まで」

出張だけにはとどまらず、経費以外の部分にもメスが入ったと吉田さんは話す。 「まず、電気代が高騰しているということで、『無駄な電力は使用しないように』と通達がありました。外出する際は必ず電気を消す。スマートフォンの充電は2回まで。パソコンも食事や休憩の際は消すなど。本当にやりづらかったです」 さらに吉田さんをはじめとする社員を激怒させたのが、冷房の設定だった。 「冷房の設定温度は『28度以下禁止』と言われました。それまでは外から帰ってきた営業のために少し低めに設定して、寒さを感じる社員にはカーディガンなどを羽織ってもらっていたのですが。ある日『電気代節約のため28度以下絶対禁止』と。猛抗議しましたが、またも『私はこの会社の台所事情を任されている』とつっぱねられ、我慢するしかありませんでした」

署名を提出され、あえなく異動に…

また、冬の暖房にも制限がかかったという。 「冬はもっと酷くて。Aさんは北国育ちで、『東京の寒さなんか厚着で防げる』などと言われ、基本暖房を入れるのは一切禁止。みんな、ダウンジャケットを着て仕事をしていましたよ。ありえません」 「社員のほとんどがAさんに反感を持つようになり、会社上層部に待遇改善を求めて直談判しました。上層部は『会社の利益を考えてくれている』と擁護し、取り合ってくれませんでした。しかし『これ以上あれこれ制限をかけられては業務に支障が出る』と営業部員全員の署名を添えて意見書を提出したところ、会社も事態を重く見たようで、聞き取り調査などを経て異動になりました。今は倉庫番をしているようですよ。きっと真夏でも、冷房を28度に設定して、作業をしているのではないですか?」 長引く不況で会社が「お金の使い方」を見直すのは当然のこと。しかし、社員の感情や業務内容を無視した形での経費削減は、会社の生産性を下げることになる。多少は現場の意見も取り入れたうえで自身の業務を遂行してほしいものだ。 <TEXT/佐藤俊治>
複数媒体で執筆中のサラリーマンライター。ファミレスでも美味しい鰻を出すライターを目指している。得意分野は社会、スポーツ、将棋など
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