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屋久島に移住した独身女性が“苦労する”ことは…たまに東京に行くと「SFの世界みたいに感じます」

今は逆に、東京が別世界みたいな感じ

すずさん

以前は屋久島が“非日常”だったが…

――移住前と移住後で屋久島のイメージは変わりましたか? すず:旅行で屋久島に来ていた時は、それこそ“非日常”という世界でした。ただ、今は逆に東京が別世界みたいな感じです(笑)。たまに東京に帰ると「なんかSFの世界みたいだな」と。東京も屋久島も同じ時代に存在しているけど、全く違う世界という感覚です。東京から見れば島の暮らしは現実逃避ができるし、のびのびできて……というイメージかもしれませんが、実際に住むと大変なことも多いですよ。 ――例えばどんなことですか? すず:ちょっとしたことでも噂になったりするんです。友達や仕事関係の方と一緒に車に乗っていたりするだけで、「付き合っているんじゃないか」と噂になってしまったり…。以前、私が男友達と一緒にいた様子を見た方が心配して、私が住む家の大家さんに電話をかけてきたこともあって。大家さんから「変な男と付き合っているみたいだけど大丈夫なのか?」と言われたり……。  それと、普通の食事だと思っていたらお見合いだったこともありました。私以外にもそういう話は聞きますね。そういうことが嫌で島から出て行ってしまう人もいたりするようです。 ――島暮らしの苦労を挙げるとすれば、そういった精神的な部分? すず:私の場合はそうですね。虫がたくさんいるので「大変だな……これは無理」と思ったこともあるのですが、冬になれば虫は出てこないじゃないですか。でも、人間関係ってずっと続くものだし、だからこそ難しい部分なのかなと。

移住してから「物事をはっきりと言えるようになった」

――今後の夢やビジョンはありますか? すず:今は自分が周囲の方々に助けられてばっかりで……。最初に屋久島に来た時、何も持たずにノープランで来たので、「私って野垂れ死んじゃうのかな」と思ったりもしていましたが、いろいろな方が助けてくれたんです。働く場所がなくてお金がなくて困っていたり、車のタイヤがパンクしたり、転んでケガをしたり。そういう局面で不思議と助けられることが多いんです。  でも、この先もずっとそんな感じじゃ良くないですし、逆に私が困っている人を助けられるぐらいの余裕のある生活を送れるようになりたいな、恩返しをしていきたいな、という気持ちがあります。 ――すずさんにとって屋久島とは? すず:すごく魅力的な島です。いい人が多いですし、みんな白黒はっきりしていて曖昧な受け答えがないんです。もともと私はあまりはっきりしない性格で、結構考え込んでしまうタイプだったのですが、屋久島に移住してからは物事をはっきりと言えるようになりました。住み心地の良さはもちろん、人間的な成長も促されているというか、そんな感じがします。 <取材・文/浜田哲男>
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界を経て起業。「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ・ニュース系メディアで連載企画・編集・取材・執筆に携わる。X(旧Twitter):@buhinton
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