刑務所、精神科病院…施設に入出所を繰り返す闇老人たち

高齢化率は22.8%を記録し、高齢化社会を突き進む日本。だが、その人口比以上の伸び率で増え続けているのが高齢犯罪者の存在だ。彼らはなぜ安易に犯罪に手を染め、「闇老人」と化してしまったのか。取材を進めていくと、その背景に潜む意外な事実があった。高齢者を犯罪者に仕立て上げる、驚愕のメカニズムが今、明らかに!

【刑務所、精神科病院……。施設に入出所を繰り返す行き場のない闇老人たち】

 闇老人の増加は、受刑者の高齢化からも窺い知ることができる。法務省によれば、’06年の60歳以上の高齢受刑者は全体の約20%を占め、年々増加の一途を辿っている。

「それは刑務所のせいもある」と語るのは窃盗、傷害、覚せい剤使用などで前科8犯、刑務所の入出所を繰り返しているY(68歳)だ。

「60歳過ぎて、一回でも刑務所に入ったら、まあカタギに戻る手段はないよ。刑務所なら3食メシが出て屋根もあるし、高齢受刑者なら、刑務作業も軽い。同じ年代の仲間もいるし、病気になれば薬ももらえる……。まさに至れり尽くせりなわけよ」

 彼は現在、某広域暴力団の電話番として雇われているが、多くの闇老人は職もなく、また犯罪に手を染めてしまう。

「俺みたいに運良く拾ってくれる人がいない限り、ジジイの前科もちがシャバに出たところで、仕事もない、誰も相手してくれない、年金なんかも出ねぇ。そうなると、塀の中でできた友達が出てくるのを待つしかないだろ? そいつらが出てきて、やることっていったらつるんで泥棒とかよ。カタギでやろうとしたら結局、生活保護で生きていくしかない。刑務所の中ならヤブだけど医者がいる。生活保護の不自由さに比べたら、塀の中のほうが自由がある」(Y)

 曰く「だから「死ぬのは塀の中って決めている」のだとか。

◆病院に収容される薬物中毒患者も高齢化

 こうした行き場のない老人たちが出たり入ったりする施設は、刑務所だけではない。

 都内にあるM病院には、高齢の薬物中毒患者が収容されている。

「ドラッグに手を染め、病院を行き来しているアルコール中毒や薬物中毒の高齢患者が増えてきた」

 そう話すのは、M病院に1か月間ほど入院したことがあるという元薬物患者のA(40歳)。彼が院内で目にしたのは、落ちたタバコを拾い集め、溶けたアイスを一心不乱に舐め続ける、虚ろな目をした高齢者たちの姿だった。

 Aと同室だった60代の中毒患者は、周囲の人の前で自らの境遇をこう語ったという。

「俺はバツ2で子供が3人いる。子供に会えない寂しさもあって、つい酒やドラッグに手を出しちゃう。でも、M病院に入ったのは5回目だから、もう慣れているんだ。何度退院しても、またここに戻ってくるかもしれないな……」

 一度、闇に落ちた高齢者の社会復帰への道は険しいもののようだ。

取材・文・撮影/鈴木大介 奥窪優木 田本晃記 図/ogitty

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