ニュース

飲食店の倒産が過去最多ペースに…好調な「丸亀製麵」にも気になる“3つの兆候”が

外食業界の苦境のワケとは

 経済社会の視点から考えると、物価が高騰し、賃金上昇が追いつかない中、節約のために外食を手控えるのは仕方ない。そもそも倒産・廃業が増える理由は経済社会的・客側・店側の3つの視点が考えられる。  外食は業種業態にもよるが、原価の3倍の支払いを店にするものだ。人に料理を作ってもらって食事をすれば、その分を払わなければならない。  しかし、スーパーで食材を購入し、家で自分が作れば光熱費と手間だけで、それ以外の負担がなく食べられる。もう背に腹は代えられない時期になっているのではなかろうか。  次に、客側の視点から考えると、職場の人間関係や労働環境の変化も影響している。約30年前、筆者が会社員だった頃を思い起こせば、残業は当たり前で、遅くまで働き、仕事が終わって終電近くまで同僚、上司、部下と飲んで帰るのが日課だった

攻めに転じない企業は難しい

丸亀製麺

打ち立てにこだわる丸亀製麺の厨房

 しかし、今の若い世代は働き方も違い、自らのプライベートを大切にし、かつお酒を飲まない人も増えているようだ。コロナ過で働き方が変わり、職場の人間関係も稀薄になったことも要因だろう。忘年会など最も居酒屋が潤うシーズンも、開催の減少、参加人数の減少に見舞われているようだ。  最後に後継者不足の問題だ。親が子供を連れて楽しく食事する風景など、かつてはよく見られたが、失われた30年で店主の高齢化と共に常連さんの高齢化も進んでいる。さらに貧困家庭が増えたことで、親世代のようには頻繁に外食に行けないのが実情だ。  店の伝統とこだわりを重視し過ぎ、店主と顧客の世代交代に向けた店舗政策を講じなければ顧客の若返りは期待できず、店の存続は困難であることを物語っている。「中小企業白書」によれば、経営者が若返りした企業は業績も向上している。  それは経営者が高齢化すると、どうしても守りに入ってしまうからだ。守りから攻めに転じて、経営革新に力を入れていかねば成長は難しい
次のページ
昔とは変わってきた外食への価値観
1
2
3
4
5
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ