そして気をつけてほしいことの二つ目は、歯間清掃は“歯磨きの前にする”ということです。
歯磨きをする前に行うことでの利点は、3点あります。
まず、歯磨き前に歯間清掃をした方が後にするよりも清掃効果が高いという論文(※2)が出ており証明されているためです。
次に、歯磨き粉に含まれるフッ素などの薬効成分が歯間に届きやすくなるということも論文で証明されています。
たしかに、歯と歯の間のプラークがしっかりと落ちている状態の方が、歯磨き粉に含まれる薬効成分が行き渡る印象はありますよね。
最後に、うがいの回数が減ることで歯磨き粉に含まれるフッ素がお口の中に残りやすいことです。フッ素はむし歯予防に有効であるため歯に長く停滞させる必要があります。
歯磨きの後に歯間清掃をするとしたら、歯磨きをしてうがいをし、歯間清掃をしてまたうがいがしたくなりますよね。むし歯予防に有効なうがいの方法に“イエテボリ法”というものがあります。
これは、歯磨き粉のフッ素を歯に長く停滞させるために、歯磨き後のうがいは、1回だけで5秒のみにしましょう、という方法です。うがいをしすぎてしまうと、せっかく歯に作用しているフッ素が全て吐き出されてしまい、歯に長く停滞しません。1回のうがいでは気持ち悪いのであれば、最低でも2回ほどに留めておきましょう。
歯間清掃を歯磨き前にするのであれば、まだ歯磨き粉を使用する前なので、歯間清掃後たくさんお口をゆすいでから歯磨きをしてOKです。
歯磨き前に歯間清掃をするだけでこんなにも良いことがあるのです。
(※2)参考文献(Mazhari F, Boskabady M, Moeintaghavi A, Habibi A. The effect of toothbrushing and flossing sequence on interdental plaque reduction and fluoride retention: A randomized controlled clinical trial. J Periodontol. 2018 Jul;89(7):824-832. )
歯間ブラシやデンタルフロスはどんなものがオススメ?
デンタルフロスは形や糸の太さ、歯間ブラシは形やサイズが異なる
前述したように歯間清掃のツールは歯科医院で相談をして教えてもらうのがオススメです。しかし色々なタイプが販売されている現在、どんなものを購入すべきかを迷われている患者さんも多くいらっしゃいます。
論文上での考えを述べるのであれば、デンタルフロスは柄がついているものと指巻タイプでは有意差を示した論文はあまりヒットしないものの、歯間ブラシでは柄が曲がっているものよりもストレートのものの方が清掃効果が高いという論文(※3)があります。
しかし、私はこうした論文にとらわれすぎず、自分が続けるのが困難ではないものを選ぶのがいちばん良いと思います。自分のお気に入りのもの、使いやすいものを長く使い、習慣化させることが重要です。
(※3)参考文献(Jordan RA,Hong HM,Lucaciu A,Zimmer S.(2013)「Efficacy of straight versus angled interdental brushes on interproximal tooth cleaning : a randomized controlled trial.」『International Journal of Dental Hygiene』2014 May;12(2):152-7 Prof.Kerstin Öhrn)