更新日:2024年12月02日 16:54
仕事

後部座席でイチャイチャしていたカップルが…タクシー運転手が“気まずかった”客5選

3)取りあえず、服、なおしましょうか

 新宿から乗ってきた30歳前後のカップル。女性が少し年上で男性にぞっこんの様子。こちらの「シートベルトの着用をお願いします」を軽く無視しながら、ぴったりと寄り添っていた。  走り出すと男性はスマホをいじりだす。女性はそれを邪魔するかのように身体を寄せ、甘えた声で何かささやいている。そのうち、ささやきが「ぅうん♪」とか「ばかぁ」などの艶声に変化していくのが運転していてもわかった。  をいをい、何してくれてるんだ? 別にいちゃつくのはいいけれど、限度を超えることはしてくれるなよ。とはいえ、振り向くわけにもいかないので、これ以上エスカレートしないことを祈りつつ運転していると、男性の電話が鳴った。 「あ、おつかれさまです。はい。はい。えー、マジですか! あー、わかりました。申し訳ありません、すぐ対処します。後で掛けなおします」

やっぱり少し脱がしかけていたようだ

 緊急事態なのだろう、男性は電話を切ると、 「ゴメン、ちょっとトラブルがあって戻らなきゃ。ここで降りるよ。また今度ね!」  早口で女性に告げると、「運転手さん、そこの地下鉄の入口で停めて」と指示して慌てて降りて行った。  こちらはやれやれと思いつつ、指示通りにドアを開け男性を見送った。そして女性に最初の目的地に向かえばいいのか尋ねようと振り向くと、女性は気まずい顔をしながらはだけていたブラウスのボタンを留め「はい」と小さな声。あ、やっぱり少し脱がしかけていたようだ。  もちろんその後、何か話のできるような雰囲気ではない。女性は車内に少しこもっていた熱気を悟られまいとしたのか、少し窓をあけて空気を入れ替えていた。
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フリーライター。定時制で東京を走り回っている現役の中年タクシードライバー

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