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「おじいちゃんが餅を喉に詰まらせて」正月に帰省したくない人たちの“悲劇のトラウマ”

思わぬかたちで迎えた新年

餅 佐々木千夏さん(仮名・20代)は、正月に起きた“事故”について話してくれた。 「母が提案し、家族3人で三が日を過ごすつもりでした。でも、父が『どうしても実家で過ごしたい』と言い、結局、父方の祖父母の家でお正月を迎えることになったんです」  子どもの頃から、祖父母の家で過ごすことが恒例行事だった佐々木さん。 「幼い頃は、『あけましておめでとう。今年もよろしくね』と、よく分からないまま言っていましたが、大人になった今では、挨拶をする度に“新しい年が始まるんだ。がんばろう”という気持ちになりますね」  しかし、そんな正月に複雑な感情を覚えることになってしまったという。

めでたいはずの“餅”をめぐる悲劇

「おじいちゃんは、週5日デイサービスに通っていて、私が遊びに行く時には家にいないことが多かったんです。正月だけ顔をあわせる存在でした。なので、年始に会う際には少し緊張していました」  親戚とはいえ、普段接することが少ない祖父との距離感をなかなかつかめなかったそうだ。 「私が挨拶をすると、おじいちゃんも『おめでとう』とにこやかに返してくれました」  その後、お節料理を食べることになり、食事を楽しんでいたのだが……。 「突然、苦しそうな声が聞こえてきました。振り向くと、おじいちゃんが餅を喉に詰まらせていたんです。すぐにおばあちゃんが背中を叩き、餅を吐き出させようとしましたが、まったく取れません」  だんだん青白くなっていく祖父の顔を見て、母は慌てて救急車を呼んだ。 「私は、すぐに看護師の友人に連絡しました。友人から『掃除機のパイプ部分で餅を吸引してあげて!』というアドバイスをもらい、餅は取り出せたのですが……」  幸いにも命は取り留めることができたが、年始に起こった“悲劇”として佐々木さんの脳裏に刻まれてしまったのだ。 「お正月という本来“祝うべき時間”に、家族全員が、ただひたすら恐怖と不安に包まれたことは忘れられません」  正月に“餅”を食べる人は多いと思うが、佐々木さんは「食べる時には本当に注意してほしいです」と訴えた。 <取材・文/chimi86>
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
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