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「住み込みの仕事は夜逃げ」100回以上“転職”した41歳男性が辿り着いた意外な“境地”

面接に受かるコツと辞め方のコツ

100回転職した男――様々な仕事を経験して培ったスキルはありますか? マーシー:資格は普通自動車免許だけで、誰でもできるような仕事ばかりやってきたので、スキルというスキルはありません。場数だけやたら踏んで唯一身につけたのは、面接スキルくらいですね。約170社受けて142回転職していて、採用率は9割近い実績もあるので。“就活のプロ”を自称しています。面接ウケがやたら良いという。 ――面接のコツをぜひ教えてください。 マーシー:コツと言っても基本に忠実ってだけですけど。服装は紺色を基調にして、髪の毛は男性なら黒髪・短髪。笑顔と声のトーンをひとつ高くすることを意識するという。あとは職歴を2〜3社にまとめて、志望動機をびっしり書けば、地方の中小企業はだいたい受かります。面接で聞かれることも、どこもだいたい同じです。 ――字が綺麗なことが特技だとか。 マーシー:面接でも字は褒めていただきます。大切な第一印象なので、綺麗な字を書くように意識していますね。 ――最近は退職代行も人気ですが、辞め方のコツは? マーシー:変に心配かけるのは私の本意ではないので、バックレてもショートメールや書き置きで、「一身上の都合で退職させていただきます」というかたちで意思表示を残しています。派遣の営業が自宅に来たって話をよく聞くんですが、私は経験ないですね。鬼電が掛かってくることはありますけど(笑)。 ――住み込みの仕事はどうやって辞めるんですか? 住み込みなので、バックレというわけにもいかないはずです。 マーシー:だいたい夜逃げみたいな感じです。岩手の農家さんで働いたときは農家さんに見つからないように夜暗くなってから荷物を自分の車に積み込み、夜中0時に夜逃げを決行しました。寮のトイレが不衛生で臭かったのが辞めた理由でした。 ――辞め方も堂に入っていますね。 マーシー:劣悪な職場を辞めるときは罪悪感もないんですけど、やはり従業員思いの親身な会社を辞めるときは、申し訳なくて自己嫌悪に陥ります。

「ここに142回転職した男がいます」

100回転職した男――いま一番買いたいものや、やりたいことはありますか? マーシー:500万円ぐらいの中古住宅を買って田舎に移住したいです。生業を見つけて自分で稼ぐ方向に主眼を置きたくて、そこを拠点に動画撮影や何かしらモノづくりしたいなと。 ――YouTubeなどでの活動を始めて人生も上向いてきた感覚もありますか? マーシー:相変わらずお金はないんですけど、意外にストレスもなく充実しているかもしれないです。何気にYouTubeがきっかけで出会った彼女もいるので。 ――え、それは実在の? 最後にぶっ込んできますね。 マーシー:実在しています(笑)。ちょっと遠距離なので、毎週は会えないんですが、SNSでDM(ダイレクトメール)をくれて交際するようになって。すでにデートとかもして。 ――たいへん失礼しました……。 マーシー:あとは仕事さえ続けられたら最強なんですけど。最近はスキマバイトなどもありますが、結婚も視野に入れて安定的な収入の柱をつくっていきたいです。 ――世の中にはなかなか仕事が続かなくて悩んでいる人も多いと思うんですが、最後にメッセージをお願いします。 マーシー:Xでは「新卒の会社をすぐ辞めて数年で何回も転職していて私は社不(社会不適合者)なんだ」みたいに落ち込んでいる人を見かけますが、どうか自分を社不なんて思わないでください。ここに142回転職した男がいますから。そんな思いでいっぱいですね、はい。 ――「自分より下を見て元気を出せ」と。そうなると、マーシーさんの魂は誰が救ってくれるんでしょうか。 マーシー:自分はすでに解脱を果たして神の領域に至っているので心配ご無用です。 <取材・文/伊藤綾>
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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