業界人が語る「見たい/見たくない」冬ドラマ6選。「演技が見ていられない」主演女優も
昨年のドラマ業界でもっとも高い視聴率をマークしたのは、木村拓哉主演の『Believe -君にかける橋-』(テレビ朝日系)の最終話で13.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/平均世帯視聴率)。
それに続いて、日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系)、人気シリーズ『相棒』(テレビ朝日系)が続いたが、どれも世間的に注目を浴びるドラマにはならなかった。
その一方で「流行語大賞」に選ばれた『不適切にもほどがある!』(TBS系)、『地面師たち』『極悪女王』(いずれもNetflix)などはSNSを中心に大きな反響を生んだ。
これは視聴率以上に、ファンの熱狂度が問われる時代を迎えたとも言えるだろう。
そんななか、1月からスタートしている冬ドラマの中で業界関係者たちが注目している、逆に見たくないと感じた作品は何なのか。忖度のない意見を集めてみた。
一人目はキー局でドラマ制作に関わり、現在はフリーで活動する50代の男性プロデューサー・A氏に見たい作品を聞いた。
「一番期待しているのは、人気芸人・バカリズムさんが脚本を手掛ける『ホットスポット』(日本テレビ系、日曜午後10時30分~)ですね。
昨年放送された『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)が業界の各賞を総なめし、脚本家としてのハードルが上がっている状況で、またしても見たことのない面白いドラマを作ってきたなと、バカリズムさんの才能に驚かされました。
ビジネスホテルに勤めるシングルマザーの主人公が宇宙人と出会うところから始まるSFドラマですが、壮大な展開になることはなく、あくまで日常の人間模様をコミカルに描いている。
でも、それが逆に不気味でさまざまな考察をしてしまう作りになっているのが実にお見事。自然体なセリフも小気味よいので、飽きることなく視聴できる。
数年前だともっとコントっぽいシナリオになっていましたが、連続ドラマらしい惹きや伏線も散りばめられており、最終回まで見たくなるドラマになっていますね」
近年、お笑い芸人がドラマ脚本を手掛けることが増えてきているが、バカリズムは芸人の肩書きを抜きにしても脚本家のトップに上り詰めたといえそうだ。
その一方で、A氏が「見たくない」と斬り捨てる冬ドラマも挙げてくれた。
「個人的に見たくないし、数字を見込めないと感じているのは『アンサンブル』(日本テレビ系、土曜午後10時~)ですね。
川口春奈さんが演じるコスパやタイパを気にする現実主義の弁護士と、SixTONES・松村北斗さんが演じる愛を信じる理想主義の弁護士が、裁判を通じて対立しながらも恋愛関係になっていくリーガルラブストーリーですが、法廷シーンや恋愛関係の構図がどれもありがちな設定になってしまっているところが非常にもったいない印象。
その中でも川口春奈さんの演技力が心配です。ピュアでまっすぐな等身大の女性を演じさせれば同世代でもピカイチだと思いますが、童顔のルックスやセリフの強弱がうまくない彼女がクセのある役どころに説得力を持たせられるかは疑問が残る。
松村北斗さんのような高い演技力を持つ俳優が相手役になることでより露骨になる気がします」
王道のラブストーリーやCMでは輝かしい実績を残す川口春奈だが、同作が彼女の女優人生を左右するドラマになるかもしれない。
バカリズムが描く日常系SFドラマ『ホットスポット』
川口春奈の演技力が心配なリーガルドラマ『アンサンブル』

テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。
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