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万博開催で“抗争自粛”?ヤクザ界に暫時の平穏「摘発強化への対策というよりは…」

 大阪・関西万博の喧騒の陰で、裏社会ではIR開業後に待ち受ける巨大利権の争奪戦が起きている!?建設業界、民泊ビジネス、闇金、歓楽街……万博で動く莫大な“カネ”の争奪戦に迫った。

万博開催で「抗争自粛」?ヤクザ界に暫時の平穏

[大阪万博とヤクザ]の“裏”実態

兵庫県警を訪れた後、車に乗り込む大同会・森尾卯太男会長(左)ら。万博直前の“休戦”が話題となった

 ’25年4月7日、六代目山口組(司忍組長)傘下組織の幹部3人が兵庫県警本部を訪れ、「今後は揉め事を起こさない」などと書かれた「誓約書」を提出したことが報じられた。  大阪・関西万博開会式6日前というタイミングでの「抗争終結宣言」。  前年から警察庁と兵庫県警が万博を機に抗争を終わらせるよう働きかけていたといわれるが、さらに九代目住吉会・小川修司会長と六代目稲川会の内堀和也会長による「要望」もあったとされる。  週刊誌報道によれば、両会長は「日本の任侠界の総意として諸事情に鑑み、抗争相手に対して今後は襲撃を控えていただきたい」と六代目山口組に「要望した」という。  関東の大手組織の元構成員D氏は、「そもそも『誓約書』は、六代目山口組が単独でまとめてますから、神戸山口組や絆會、池田組など対立している組織からすれば『ウチは知らない』という話。これで収束するとも思えませんが、今どきは抗争もカネがかかるだけでメリットもないから、かつてのような大抗争に発展することはもうないでしょう」と分析する。

抗争自粛は摘発対策のためではない?

 とはいえ、万博やオリンピックなど国家的イベントに際する「抗争自粛」は以前からあった。東京五輪の前(’19年)にも都内の主要組織が加盟する「関東親睦会」が銃器使用の自重を求める通達を発している。 「摘発強化への対策というよりは、ヤクザも単純にイベント好きなんだと思います(笑)」(同)  山口組は、’15年8月の分裂から10年を迎える。  当初は「離脱組」が結成した神戸山口組にも約6100人が参集したが、膠着状態が長引くにつれて勢いは衰え、’24年末の構成員と準構成員の数は六代目山口組が約6900人、神戸山口組は約320人と格差が拡大している。 「山口組の歴史の中で、ここまで分裂抗争が長引いたことはなかった。暴排条例によってヤクザは銃器の調達どころか生活そのものが難しくなり、犯罪に対する厳罰化もあって、縄張りを奪うようなことはできなくなっている。とはいえ今さら『手打ち』は無理なので、万博はいいきっかけになったのでは?」(同)
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真の狙いは万博後の“甘い汁”
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