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現役ヤクザ記者が語る、山口組分裂取材のウラ側

 山口組の分裂騒動が勃発して5年。一時は睨み合いが続き、表向きは「静穏」を保っていたが、ここにきて覇権争いが活発化、抗争状態に陥っている。三つ巴となった戦いを取材する現役ヤクザ記者に裏側を聞いた。
ヤクザ

※写真はイメージです

六代目側の上層部にぶちギレられ…

 ’15年8月に六代目側で分裂騒動が勃発すると、日頃からヤクザの動向を追う実話誌の記者たちは大いに奮い立った。X誌のヤクザ記事担当記者は語る。 「’84年の一和会以来で、山口組の分裂は久しぶりですからね。読者の食いつきも尋常じゃなく、雑誌の売り上げは急上昇しました。長らく出版不況に苦しむ経営サイドは『もっと行け、ドンドン行け!』とケツを叩いてくるので、自分を見失う記者も続出しました」  実話誌Aでは、懇意のネタ元が神戸側の組長だったためにどうしても神戸側寄りの記事が続いた。これを六代目側が面白く思うわけがなく、ついに六代目側の上層部がぶちギレてしまった。 「ヤクザの側は命懸けですから、怒り方もハンパなかった。現役組員の写真掲載を一切許さず、守らなければ法的措置も辞さないと通達してきたそうです。そこで編集長は頭を丸めて詫びを入れて降任したとのことです」

偽物の写真を掲載して謝罪するはめに

 それほど報道は過熱したが、やがて警察の取り締まりにより抗争が鎮静化するにつれ、記者たちは今度はネタ枯れに泣かされた。 「いくら歩き回ってもネタが見つからないときもあります。そこでネット検索してみると気になる話がいくつも見つかるんですよ。ツイッターなどのSNSを使うヤクザが増えていますからね。ただし本ネタもある代わりにフェイクやガセも多いので、大ケガすることも少なくありませんでした」  例えば、ヤクザの乱闘事件を追っていた実話誌Bの記者は、多くの男たちが暴れる現場の写真をネットで見つけた。裏取りの結果、「間違いない」との証言を得て、誌面で大きく使用したという。 「ところが発売後に乱闘事件とは無関係のヤクザから連絡があり、酔っ払って遊んでいたところを撮った写真だと判明。間違いないと答えた人間はワザとなのか、勘違いなのか不明ですが、謝罪文を載せるハメになったそうです」  だが、髙山若頭の出所後は、組織間の争いが再燃。ヤクザ記者たちも張り切って動きだしたのだが、射殺事件のヒットマンが、実在する実話誌Cの記者を名乗り、社名入りの偽造名刺を所持していたことが判明し、とばっちりを受ける。 「実話誌Cの記者はどこの現場へ行っても、『警察やヤクザから本物の記者かどうか厳しくチェックされる』と嘆いています。それに事件当日、現場に実話誌Cの記者はいなかったんですが、もしいればヒットマンがニセ記者と見破れたはずだと、ヤクザから責められることもあるそうです」  ヤクザ記者は、傍観者ではいられないということか……。 <取材・文/野中ツトム(清談社)> ※週刊SPA!12月24日発売号の特集「仁義なき[山口組]三国志」より

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表紙の人/ 長渕 剛

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