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大谷翔平「大活躍」の陰で繰り返されたロバーツ監督の“愚行”…大量リードでの「野手登板」は是か非か

 日本時間23日、ドジャースの大谷翔平が、ナショナルズ戦で今季2度目の登板を果たした。午前5時すぎに目覚ましをセットして、眠い目をこすりながらテレビの電源をつけたファンも少なくなかったはずだ。  大谷の2年ぶり復帰登板となった6日前のパドレス戦(17日)は、制球もやや不安定で1回を投げ1失点。ところがこの日は味方エラーによる出塁は許したものの、打者4人に対して無安打、三振も2つ奪い、無難に1回を無失点で切り抜けた。

ファンをヤキモキさせることも…

 同じ1イニングでも前回のパドレス戦は28球を要したが、2度目の登板はわずか18球。これから徐々に球数を増やしていくとみられるが、オールスター明けの約1か月後には5イニング、80球前後に到達するのが一つの目安となるだろう。  投げる方でリズムをつくった大谷は、打っても第4打席にライトへのタイムリー三塁打、さらに第5打席に8試合ぶりとなる本塁打を放ち、合計5打点の大活躍。チームの勝利に大きく貢献し、二刀流の完全復活がさらに近づいた印象だ。  そんな大谷の活躍の陰で、一部のドジャースファンをヤキモキさせたのが、ロバーツ監督の継投策だった。  この日のドジャースは中盤以降に打線が爆発。8回を終えて、13-3と10点のリードを奪っていた。8回まで4人の投手をつないでいたが、9回表のマウンドに上がったのはキケ・ヘルナンデス。内野手ながら、これが今季5度目の登板だった。  ところが、55マイル(約88キロ)前後のスローボールを中心に何とか打たせて取ろうとするが、なかなかアウトが奪えない。四球、二塁打、四球、適時打、犠飛、四球と打者6人から1アウトを取っただけで4失点。ちょうど30球を投じたところで降板を言い渡された。

ロバーツ監督の目論見は崩壊

 結局、アレックス・ベシアがアウトを2つ取り、事なきを得たが、投手陣を温存したいというロバーツ監督の目論見は崩壊。むしろ、ベシアにとっては急遽ブルペンで肩を作る羽目となり、逆効果だったといえるだろう。  実は、ロバーツ監督は8日前にも同じ失敗をしていた。それが、今月15日のジャイアンツ戦。11-0と大量リードを奪った最終回のマウンドに上ったのはやはりヘルナンデスだった。  ヘルナンデスは打者9人に対して、本塁打1本を含む3安打、3四球、5失点を喫し、ロバーツ監督は投手のアンソニー・バンダを投入せざるを得なくなった。少しでも投手の負担を軽減させたいという意図も理解できるが、勝ち試合での野手登板には否定的な意見も目立つ。

相手指揮官も次々と苦言

 ジャイアンツ戦では、試合後に相手指揮官のメルビン監督が「私ならそんな(リードした場面で野手を登板させる)ことはしないだろう」と苦言を呈し、23日のナショナルズ戦でもマルティネス監督が「嫌な感じだ」と不快感を隠さなかった。  23日の試合後には、SNSなどにおいても「ロバーツはもうたくさんだ。ファン、チーム、オーナー、そして野球に敬意を払え。キケは投手ではない」、「ロバーツは野球をネタにするのをやめて、キケを投げさせない方がいい」「これは野球界に対する侮辱だ。かつては面白かったが、今はそうでもない」など、現地ファンの間でもロバーツ監督の采配に批判的な声が目立っていた。  大差をつけられた負け試合であれば、野手の登板も理解できるという声は根強いが、やはり勝ち試合となれば、もう少し考えを改めるべきなのかもしれない。
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日本で野手がマウンドに上ることが「ほとんどない理由」
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1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。

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