更新日:2025年07月03日 17:43
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「ココイチ」の客単価は1200円。高級化で“客離れ”が進むも「過去最高益」を更新するワケ

「カレーハウスCoCo壱番屋」を運営する壱番屋の業績が絶好調です。5期連続増収、3期連続増益で、今期は6期ぶりに過去最高益を更新する見込み。背景には値上げがあり、1人当たりの単価は今や1200円。高級店となったココイチは、更なる業績拡大に向けて新たな道を進んでいます。
ココイチ

カレーハウスCoCo壱番屋

価格を1割値上げした結果は…

 ココイチは2022年6月にベースカレーの価格を5.9%(+33円)引き上げました。同年12月に7.4%(+44円)、2024年8月には10.5%(+43~76円)もの値上げに踏み切っています。特に昨年の1割引き上げの影響は大きく、9月から今年5月まで客数はすべて前年を割り込みました。
ココイチ 客数と客単価

ココイチ 客数と客単価 ※月次情報より筆者作成

 しかし、客単価は1割増加しています。結果として、2024年9月から2025年5月までで、オープンから一定の期間が経過した既存店の売上高は平均で6.4%増となりました。値上げが奏功したのです。  壱番屋は2期連続で2ケタの増収となり、今期も1割増を計画しています。外食チェーンの中でも特に好調だと言えるでしょう。

直営店なら「閉店」という選択肢があるが…

 ポイントは強気な値上げを行ったにも関わらず、売上が前年割れを起こすほど客が離れなかったこと。飲食店は段階的な価格改定を行い、様子を見ながら進めるのが普通です。特にココイチは約1200店舗の9割をフランチャイズ加盟店が占めています。  直営店の場合、客離れを起こしても閉店という荒療治で収益をコントロールすることができますが、フランチャイズの場合はそう簡単にいきません。値上げには慎重さが必要なのです。しかし壱番屋は断行し、見事な結果を出しました。  それにしても、客離れが起きなかったのはなぜでしょうか?
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20代よりも50代のほうがカレーを食べる
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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