フリーターから22歳でココイチFC社長、26歳で星野リゾート総支配人…「異例抜擢」された若手管理職の“その後”
年次を重ねて昇進していくのが当たり前だった日本社会で、若手を責任者や代表取締役などの役職に「異例抜擢」する会社が増えている。就任時はメディアで注目を集めるものだが、その後は経営などに支障は生じていないのか。現場のリアルに迫った——。
取材当日、JR秋葉原駅近くにある「カレーハウスCOCO壱番屋」(ココイチ)の店舗を訪れると、「社長」は制服姿で現れた。諸沢莉乃さん、24歳。’24年5月、わずか22歳にしてココイチのフランチャイズ経営を行うスカイスクレイパーの代表取締役社長に就任し、丸2年が経つ。高校1年でココイチのアルバイトを始め、’21年には全国で16人しかいない接客スペシャリスト「スター」を獲得した。実力は申し分なかったが、就任前日までの肩書は「フリーター」。年齢も肩書も飛び越えた異例の抜擢に、就任後は取材依頼が殺到した。
「就任後の数か月は、連日メディア対応で……。会社のブランディングにもつながると思い積極的にお受けしていましたが、まともに社長業はできませんでした」と、苦笑いする。
本業に本腰を入れる今も、その働き方は世間がイメージする「社長」像とは乖離がある。
「経営者といえど、現場を見ないことには何もわかりません。基本的には弊社が運営する全国31の店舗(系列店を含む)にどこかしらほぼ毎日顔を出し、スタッフと一緒に接客をしています。仕事上の連絡や事務仕事は、移動中に済ませてしまうことが多いです」
諸沢さんに次期社長を打診した西牧大輔前社長(現会長)は、諸沢さんの社長就任から3年は共同で会社を運営し、その後退職する約束だ。現場仕事の合間には西牧会長とともに講演で全国を回ったり、経営会議に出席したりと、現場以外の業務も忙しい。
「1年目は、社長業の年間スケジュールを把握するだけで手いっぱい。一通り流れを覚えたら、2年目にやっと『感情』が出てきた。今年はラストイヤーなので、残された時間で会長からどれだけ吸収できるかが勝負です」
就任後、数か月はまともに社長業ができなかった

諸沢莉乃さん。JR秋葉原駅昭和通り口店にて

店舗で現場業務に入り、スタッフと談笑する諸沢さん(写真=スカイスクレイパー提供)
一橋大学大学院社会学研究科修了後、『サンデー毎日』『週刊朝日』などの記者を経て、24年6月より『SPA!』編集部で編集・ライター。 Xアカウント: @osomatu_san
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