熱中症に気づかず「寝たまま亡くなることも」特殊清掃員が明かす、夏にエアコンをつけないリスク
地球温暖化の影響か、9月や10月になっても残暑が続き、熱中症の被害は無くならないという。最悪そのまま死亡してしまい、特殊清掃の依頼がくることに……。
都内を中心にさまざまな現場で特殊清掃を手がけるブルークリーン株式会社で働きながら、特殊清掃の実態を伝える登録者5万3000人以上のYouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」を運営している鈴木亮太さんに、夏場の熱中症による現場の特徴について詳しい話を聞いた。
夏場の特殊清掃現場には特徴があるという。
「ご高齢の方が自宅で熱中症で亡くなられた場合、エアコンがついていないことがとても多いです。悪臭の原因を特定するべく、毎回警察の方に現場でどのような亡くなり方をしたのか、状況をなるべく詳細に聞くんですけど、暑いのに扇風機だけでしのごうとする人が多い。
おそらく、“昔からこの時季はエアコンをつけてなかったはず”と、自分の暑さの体感ではなく、時季で判断してると思うんです。近年の夏・初秋は、昔よりもはるかに暑いので、かならずエアコンをつけるよう注意喚起しています」
高齢になってくると、体温調節機能が落ちてくる。
「歳を取れば取るほど、体のセンサーがうまく働かなくなるので。通常なら暑すぎたら体から“SOS”が出ます。顔が熱くなって『このままではマズいから部屋を冷やして水をたくさん飲まなくては』といった対処をしますが、ご高齢の方は熱中症の初期症状に気づかず、寝たまま亡くなってしまうことが多い」
近年は電気代の高騰により、エアコンをつけるのを渋る人が増えている。
「今年の夏に、ものすごく暑くて熱中症で亡くなった人が多い日があったかと思いますが、特殊清掃依頼がくるのは“時間差”なんです。そもそも“熱中症で亡くなった人が多い日”というのは、発見が早く、死因が熱中症だと判別できている現場です。でも熱中症が死因だったと特定できた現場は、特殊清掃をしなくてはいけないほど部屋が荒れてはいないんです。翌日か、翌々日くらいに親族や近隣住民の方が発見して、被害が少ない場合が多いです。
問題は死因不明だけど、実は熱中症で亡くなっていた方々です。死因がはっきりわからないので“熱中症だろう”という推測しかできません」
熱中症で亡くなったかわからないくらい遺体の損傷がひどいケースは……。
「エアコンがついていない現場だったので、おそらく熱中症だったと推測されるんですが、遺体の腐敗が著しく進行しており身元確認のためにDNA鑑定をしなくてはいけない。そこまで遺体の腐敗が進んでしまうと、警察から許可が出るまで物を動かしてはいけません。なので、清掃に入れず、遺品整理もできません」
夏場に注意しなくてはいけないのが、遺体の腐敗スピードの早さに伴う感染症リスクだ。
「夏場は腐敗した遺体の臭いが強くなるので、虫もたくさん寄ってきやすくなります。直接遺体に触れなくても、虫は遺体を食べて成長しているので、その虫に触れることで感染症リスクも上がっていきます。ご遺族の方が現場に業者よりも先に入りたい気持ちもわかるのですが、その際は密封性の高いサージカルマスクやN95マスクをつけたり、手袋とシューズカバーは必須です」
研究機関に特殊清掃現場の大気汚染の危険性について相談したこともあるという。
「調べてもらったところ、科学者の人も驚くレベルの大気汚染がありました。これだけ、孤独死が増えて特殊清掃という仕事が重宝される時代になっても、まだ国からの注意喚起がないのが不思議です。なので、僕たちで伝えられる範囲では世の中に発信していくのが義務だと思っています」
夏場は、冷蔵庫に入っている食べ物の腐敗も問題になる。
「電気代の支払いができておらず電気が止まってしまい冷蔵庫が数日稼働していない現場がたまにあります。冬場に比べて食べ物がすぐに腐り、遺体の臭いに加えて生ゴミの腐敗臭も残りがちで、二次被害のような形になります。
生ゴミなど家庭ゴミの処理は法律上の都合により、どうしてもご遺族の方に処分をお願いすることになり、ご迷惑をおかけすることが多々あります。運搬許可の整備が国で整っていなくて、色々と難しい話なのですが……」
エアコンを使わず扇風機だけでしのごうとした結果…

エアコンをつけていなかった高齢者の部屋<画像提供:ブルークリーン(以下同)>
夏は遺体がすぐに腐敗、大量の虫が寄ってきて感染症のリスクも
近年は電気代の高騰により、エアコンをつけるのを渋る人が増えている。
「今年の夏に、ものすごく暑くて熱中症で亡くなった人が多い日があったかと思いますが、特殊清掃依頼がくるのは“時間差”なんです。そもそも“熱中症で亡くなった人が多い日”というのは、発見が早く、死因が熱中症だと判別できている現場です。でも熱中症が死因だったと特定できた現場は、特殊清掃をしなくてはいけないほど部屋が荒れてはいないんです。翌日か、翌々日くらいに親族や近隣住民の方が発見して、被害が少ない場合が多いです。
問題は死因不明だけど、実は熱中症で亡くなっていた方々です。死因がはっきりわからないので“熱中症だろう”という推測しかできません」
熱中症で亡くなったかわからないくらい遺体の損傷がひどいケースは……。
「エアコンがついていない現場だったので、おそらく熱中症だったと推測されるんですが、遺体の腐敗が著しく進行しており身元確認のためにDNA鑑定をしなくてはいけない。そこまで遺体の腐敗が進んでしまうと、警察から許可が出るまで物を動かしてはいけません。なので、清掃に入れず、遺品整理もできません」
夏場に注意しなくてはいけないのが、遺体の腐敗スピードの早さに伴う感染症リスクだ。
「夏場は腐敗した遺体の臭いが強くなるので、虫もたくさん寄ってきやすくなります。直接遺体に触れなくても、虫は遺体を食べて成長しているので、その虫に触れることで感染症リスクも上がっていきます。ご遺族の方が現場に業者よりも先に入りたい気持ちもわかるのですが、その際は密封性の高いサージカルマスクやN95マスクをつけたり、手袋とシューズカバーは必須です」
研究機関に特殊清掃現場の大気汚染の危険性について相談したこともあるという。
「調べてもらったところ、科学者の人も驚くレベルの大気汚染がありました。これだけ、孤独死が増えて特殊清掃という仕事が重宝される時代になっても、まだ国からの注意喚起がないのが不思議です。なので、僕たちで伝えられる範囲では世の中に発信していくのが義務だと思っています」
夏場は、冷蔵庫に入っている食べ物の腐敗も問題になる。
「電気代の支払いができておらず電気が止まってしまい冷蔵庫が数日稼働していない現場がたまにあります。冬場に比べて食べ物がすぐに腐り、遺体の臭いに加えて生ゴミの腐敗臭も残りがちで、二次被害のような形になります。
生ゴミなど家庭ゴミの処理は法律上の都合により、どうしてもご遺族の方に処分をお願いすることになり、ご迷惑をおかけすることが多々あります。運搬許可の整備が国で整っていなくて、色々と難しい話なのですが……」
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(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦
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