特殊清掃業者が明かす「見た感じは綺麗なのに、なぜか臭い現場」の原因とは
特殊清掃の業務は“悪臭との戦い”の日々だ。鼻がひん曲がるような現場も数多くある。だが、「現場は悲惨なのに、なぜか臭いがそこまで強くない現場がある」という。逆に、「見た感じは綺麗なのに、なぜか臭い現場もある」そうだ。どういうことか?
都内を中心にさまざまな現場で特殊清掃を手がけるブルークリーン株式会社で働きながら、特殊清掃の実態を伝える登録者5万3000人以上のYouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」を運営している鈴木亮太さんに、思ったよりも臭いがひどくない現場の清掃について詳しい話を聞いた。
特殊清掃の現場の悪臭の原因は様々だという。
「悪臭の原因として多いのが、大便や小便などの排泄物や、人体が腐敗したことによるものです。人体の油が腐敗した臭いは、感染症のリスクなどがあるので、特殊清掃が必要になる案件です。
また、一見部屋が綺麗そうに見えても、強烈な悪臭を放つ現場もありました。強烈な臭いがどこから発生しているのかわからず、なぜなんだろうと思ったら、体液が部屋の壁を伝って、床下に広がっているようでした。フローリングが臭いを若干抑え込んでてくれたみたいで、床を解体したらさらに強烈な悪臭が広がっていて。こういう壁沿いで人が亡くなるケースって、20件に1件くらいありますね」
一見臭そうに見えても案外臭くない現場もたまにはある。
「真夏でも冷房が18度設定になってて冷えている部屋はあまり臭いがしません。そういう現場は、外に臭いが漏れないようにエアコンを消して作業している間にどんどん臭いがキツくなっていくことが多いです。また、扇風機などで体液が乾燥している現場は、そこまで臭いがキツくありません。
死後2年、3年とか経過してから発見されたような時間が経っている現場も臭いがそこまでひどくないです。臭いを発する細菌も時間経過とともに、表面がどんどん固まって乾燥していくんです。歯にたまるプラーク(歯垢)と同じで、自分たちの身を守るために細菌の塊を形成していきます。すると、自らの臭いを抑えにいくような働きになっていき、臭そうに見えてあまり臭くない現場となります」
清掃をしていないのに臭いがほとんどなくなっている現場だからといって、細菌感染のリスクが0になったわけではないという。
「臭いがほとんどないからといって、清掃が簡単になったわけではありません。死後の経過時間が長ければ長いほど、臭いの原因を分解したり中和したりと壊していくための作業に時間がかかります。夏場の体液がどろっとある現場とかであれば、まだ水分を含んでいるのでそのまま除去作業に入れますが、凝固してしまってる場合は、塊に水分を与えてふやかす作業から入ります。時間が経過した現場は臭いが少ないから清掃費用もそこまでかからないんじゃないかと思われがちですが、作業工程が増えるので、ちょっと費用も高くなります」
見た感じは綺麗なのに、なぜか臭い現場

一見綺麗なのに床下には……<画像提供:ブルークリーン(以下同)>

床を解体
見た感じは悲惨なのに、なぜか臭くない現場
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(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦
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