「運転席がドロドロ」“車”の特殊清掃は意外と大変。ほぼ廃車になるのに、特殊清掃が必要なワケ
「特殊清掃の仕事に従事していると、孤独死などの部屋の清掃だけでなく、変わった現場に遭遇することもあります」
都内を中心にさまざまな現場で特殊清掃を手がけるブルークリーン株式会社で働きながら、特殊清掃の実態を伝える登録者5万3000人以上のYouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」を運営している鈴木亮太さんに、珍しい清掃現場について聞いた。
「年に1から2回ほどある現場なのですが、“車の中で自殺された方”の特殊清掃ですね。事件性があるかどうかの確認でレッカーなどで警察署に車が保管されていて、車の持ち主の遺族からのご依頼で清掃作業に入りました。
警察から遺族の方へ、『このまま保管しておくことはできないので、いったん特殊清掃をした方がいい』との助言を受けての依頼だったと記憶しています。清掃に入る前に警察の方に説明をして、警察署の駐車場で作業をすることになりました。
車が発見された場所は直射日光の当たるところだったようで、扉を開けるとかなり強烈な臭いが……。10月ごろだったのですが、残暑が続いていて……。車の中って、めちゃくちゃ熱がこもるじゃないですか。もわっとした空気とともに激しい腐敗臭が漂ってきて、かなりツラかったですね」
どうやら練炭自殺で亡くなり死後時間が経過した車だったようだ。
「運転席がドロドロになっていて、どこから手をつければいいかって感じでした。布のシートに体液の染み込みがすごくて、一度シートを取り外さなければどうしようもできないといった車もありました。まれに、シートや自分の周辺をラップやビニール袋などで包んで、その上で亡くなってる遺体もあり、そういう現場の場合は臭い取りくらいで済むことはありました」
しかし、車での作業は狭く人が複数人入れないのでかなり苦戦をするという。
「スペースが狭すぎて扉を開けながら作業をしないと無理なケースが多いんですよ。電源も外に持ち運び用の蓄電池を置いて、そこから取るみたいな感じなのでドアを閉めることができない。なので、臭いがどうしても外に漏れてしまうんです。
作業工程としては、車の中のものを全部外に出して、不要品を捨てて、臭いと汚れを完璧に取る形です。車の特殊清掃って、“車内で暮らしていたんじゃないか?”ってくらい荒れてることが多いんです。布団があったり、服があったり、ゴミが山積みになっていたり。釣り道具や仕事で使うであろう資料もたくさんあることが多いです。そういうのを全て外に出して、分別して捨てます。その際も夏場の場合はエアコン無しで作業します」

車の特殊清掃依頼がくることも<画像提供:ブルークリーン(以下同)>
“車”の特殊清掃依頼は「車内で暮らしていたんじゃないかってぐらい荒れている」

車内を消毒
エアコン無しの狭いスペースで…
1
2
(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦
記事一覧へ
記事一覧へ
【関連キーワードから記事を探す】
「1分の遅れが命取りに」特殊清掃業者の壮絶すぎる繁忙期に密着。22時まで続く見積もりと清掃の日々
「運転席がドロドロ」“車”の特殊清掃は意外と大変。ほぼ廃車になるのに、特殊清掃が必要なワケ
早稲田卒・大手企業に勤める28歳女性の部屋はゴミ屋敷…清掃代行業者と精神科医に聞いた「片づけられない人の特徴」
20年以上放置していた実家が「ごみ屋敷」に。高齢の父が一人暮らし、“生前整理”に5日間もかかって
遺族に聞こえる声で「くっさ!」、遺品整理で見つかったお金を横領…特殊清掃員が明かす“悪質業者の実態”
この記者は、他にもこんな記事を書いています




