仕事

遺族に聞こえる声で「くっさ!」、遺品整理で見つかったお金を横領…特殊清掃員が明かす“悪質業者の実態”

 孤独死や事件、事故などが起きた現場を清掃する「特殊清掃」だが、素行不良の業者が遺族に対して絶対に言ってはいけない失礼な言葉を発したり、遺品から現金や貴重品を横領するなどの悪質な行為が問題視されている。
特殊清掃

特殊清掃の現場。画像提供:ブルークリーン(以下同)

 都内を中心にさまざまな現場で特殊清掃を手がけるブルークリーン株式会社で働きながら、特殊清掃の実態を伝える登録者5万3000人以上のYouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」を運営している鈴木亮太さんに特殊清掃業者としてあるまじき行為について詳しい話を聞いた。

遺族にも聞こえる声で「くっさ!」

 特殊清掃は遺族と向き合う仕事でもあるため、従業員の礼儀やマナーの教育を徹底しているという。 「我々に依頼する方の多くが、身内を亡くしたばかりです。失礼な対応を取らないように教育しています。  見積もりの段階では様々な業者が現場を見にくるのですが、他の業者が大きい声で『くっさ!』と言っていたことがあります。外にいる我々とご遺族にまで聞こえてしまっていたので、弊社ではそのようなことを絶対に言わないというマニュアルを作っています」

現場で見つかったお金を懐に入れる業者も

100円札

現在は発行されていない100円札が見つかることも

 遺品整理を頼まれることも多く、しっかりと従業員を教育しないと間違った行動につながることがある。 「現場の品を『すべて処分してくれ』みたいな形で依頼を受けた場合、すべてゴミ袋に入れていくという作業になるのですが、依頼主に返さなくてはいけない品物もあるんです。  捨てようが何しようがうちの自由でしょ、みたいな考え方をする人も一定数いますが、そういう考えの人には会社として注意しないといけないと思っています」
1000円札

伊藤博文の1000円札

 たとえば、現金が見つかって山分けするのが特殊清掃業界ではよくある話のようだ。 「金庫から10万円出てきました、みたいなことって結構あるんですよ。本来だと依頼主に相談しないといけません。もちろん、現金はそっくりそのままお返ししなくてはなりませんし、貴金属であれば返却をするか、買取の場合はいくらになりますと見積もりを出します。基本的に現場にある物は我々の物ではないんです。にもかかわらず、出てきたお金などを懐に入れてしまうといった業者も存在していることは事実です」
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“遺品は自分たちの物ではない”にもかかわらず…
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(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦
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