極上のパウダースノーを求め、世界各国からウインタースポーツを楽しむ人々が集う北海道のニセコ。’24年のインバウンドは過去最多を記録したが、地元ではさまざまな社会問題が表面化している。その真相を追った。
住人の10倍の外国人観光客が訪れる「スキーの聖地」の現状
![[欲望マネーの街]ニセコの真実](https://nikkan-spa.jp/wp-content/uploads/2025/10/20251027Niseko1-550x363.jpg)
北海道・新千歳空港から特急電車でおよそ3時間。日本が世界に誇るスキーリゾートは、交通至便とは言い難いエリアにもかかわらず、右肩上がりの活況を呈している。
「ニセコの雪質は粒子が非常に細かく、まるで水の上を滑っているかのような浮遊感が味わえます。30年以上前、オーストラリアから来たスキーインストラクターが惚れ込み、口コミによって世界中に魅力が広まりました。『雪』が観光資源となる事例は長野の白馬や新潟の妙高高原も注目されていますが、パイオニアとなったのは間違いなくニセコです」(地元の観光業従事者)
“蝦夷富士”の別称で知られる羊蹄山を囲むように、複数の自治体に跨がるニセコエリアの人口はおよそ2万人。
だが、インバウンドだけで住人の10倍もの観光客が冬に集中して殺到し、一大マーケットが立ち上がり、その結果、現地には違法建築や無許可伐採などモラルなき開発が横行しているというのだ。
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スキー場のゴンドラ近くは、火鍋屋が流行
10月中旬、SPA! 記者はオフシーズンで閑散とする現地を訪ねてみた。目についたのは、ハイシーズンに向け急ピッチで工事を急ぐ街の様子だ。
高級別荘が立ち並ぶエリアで清掃業を営む日本人女性に声をかけると、こう語った。
「観光客の8割以上が12月から3月の間に押し寄せるので、今はその準備をしているところ。人手は全然足りなくて、私たちは小樽からバスで1時間かけて派遣されているんです。時給は2000円、移動時間もカウントされるので待遇はよいですが、それでも働き手が集まらない。そのせいか、アジアからの労働者がめちゃくちゃ増えてます」
中心部のひとつ、「ニセコひらふ」で飲食店を営む男性もこう言う。
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ニセコ価格を象徴する人気の銘柄「十四代」。相場の10倍だ
「太客はもっぱら中国人。わかりやすく高いメニューがウケていて、メニューに10万円のコースを用意すると皆それを注文します。お酒も高額で『十四代』という日本酒は1本14万円ほど。車で10分ほどの隣町に行けば1万円ちょっとで飲めるお酒ですがね」
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郊外にも分譲地が点在している
「ニセコが日本人の街ではないってことは、冬に来たらわかりますよ」──清掃業の女性も、飲食店を営む男性も、口を揃えてこう言う。
事実、現地で見かける別荘やコンドミニアムの販売を呼びかける看板は英字表記が主だ。
ニセコひらふや花園といった人気エリアにあるコンドミニアムは100㎡未満の2ベッドルームでも億超えが当たり前で、土地の公示価格も前年比で10%近い上昇を見せている。
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北海道新幹線の工事が急ピッチで進む倶知安駅界隈
「東京―函館間で開通した北海道新幹線が札幌まで延長されることが決まり、’30年を目標に工事が進められています。ニセコに近い倶知安という駅にも停まることからさらなる地価上昇が期待され、ニセコに外資のカネ、人が雪崩を打って流れ込んでいる。あまりに急速に膨張しているので、地元民からは心配の声が上がるほどです」(前出・飲食店経営者)
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※数字は倶知安、ニセコ、蘭越の外国人宿泊客の延べ数
ニセコに蠢く“欲望マネー”を象徴する存在といえば、外国人労働者向けの共同住宅だろう。倶知安駅から10分ほど歩いた農地に30棟からなる共同住宅を建設し、最大1200人の外国人労働者に向けて貸し出す計画なのだ。
「土地を所有するのはシンガポールの法人で、入居するのはスキー場界隈で働く外国人労働者。地元の人から『治安悪化を招く』と不安の声が上がるのも無理はありません。地元団体による反対署名運動もむなしく、行政はこの計画を通してしまった」(同)