更新日:2024年08月08日 13:02
お金

“ニセコ化”するディズニーリゾート。待ち受ける「金持ちしか楽しめない」未来

全国に数多くあるテーマパーク。今もなお新しいテーマパークが生まれては人々を楽しませ続けている。しかし、そんなテーマパークには、あまり語られることのない側面が存在する。そんな、「テーマパークのB面」をここでは語っていこう。 さて、ディズニーリゾートに異変が起きていることをご存じだろうか。 ここ数年の「高級化」に歯止めがかからない。今年6月にオープンした新エリア「ファンタジースプリングス」に入ることのできる「ファンタジースプリングス・マジック」というチケットは大人で22,900円~25,900円。11歳までの小人でも19,700円~20,600円という料金。この高価格の料金が、波紋を呼んでいるのだ。
東京ディズニーランド

Antelope – stock.adobe.com

ディズニーは金持ちしか楽しめない?

通常のチケットも高くなっている。2023年にはチケットが1万円を突破する日も出てきたのだ。日によって若干の変動があるものの、例えば今年の8月のチケット代を公式ホームページで見てみれば、8月10日から17日までの1週間は、1デーパスポートで10,900円。しかも、これはあくまで入園料だけで、そこに食事代やお土産代などが加わる。 さらに、2022年からは「ディズニープレミアアクセス」という有料のチケットも登場。1回1,500円〜2,500円のチケットを買うことで、アトラクションやパレードを優先的に体験できる。かつて、アトラクションへの優先搭乗券は「ファストパス」という名前で、無料で取得できていた。ここにもお金が掛かるようになっている。 こうしたことから「ディズニーは金持ちしか楽しめない」といった意見がまことしやかに語られるようになったのだ。

クルージングは「1人30万円」になるかも?

その極致ともいえるニュースも入ってきている。2024年7月9日、オリエンタルランドは、パーク事業に続く新しい柱としてクルーズ事業に参入することを発表。2028年度の就航を目指して、投資総額は3,300億円を見込んでいるという。 日常世界から離れた「別世界」を楽しむテーマパークにおいて、「海の上」はもっともその世界観が作りやすい場所だ。実際、海外のディズニーではすでに盛んにクルージングが行われていて、人気のコンテンツでもある。その点、今回の参入発表は納得できるものだが、ここでも注目したいのが、値段の高さ。まだ検討段階だから確定ではないが、一般的な客室で1人あたり10万〜30万円になる予定らしい。この額を払ってでもディズニーの世界観を体験したい人を狙いにする予定だろう。 いずれにしても、こうした高級化のタイミングの次なる一手が「クルーズ」なのは、うなずけるところである。
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“量”より“質”に舵を切ったオリエンタルランド
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ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
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