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「ノマド」をめぐる議論が炎上する理由

◆流行の「ノマド」をめぐるクールでホットな議論

ノマド 炎上案件という意味も含め、なんだか「ノマド」が注目を集めている。

 念のため解説すると、「ノマド」とは遊牧民の意味で、移動する民というところから「属する組織や働く場所、時には住む場所にもとらわれない自由な働き方、生き方」てな感じの意味らしい。

 そのライフスタイルを推奨した本田直之氏の『ノマドライフ』(朝日新聞出版)はベストセラーとなり、「ノマド的あり方を追求する」コミュニケーションデザイナー安藤美冬氏の生き様がTBS『情熱大陸』で取り上げられたりもした。

「人生を仕事かプライベートかといった従来の区分けで考えるのをやめて、自分らしさを追求する」(本田直之『ノマドライフ』より)

「住む場所や仕事に自分を合わせるのではなく、自分に合わせて住む場所や仕事を変えるようになる」(安藤美冬ブログより)――など。

 その生き方に憧れる人も少なくなく、安藤氏も登壇する本田氏の『ノマドライフスタイル塾』(受講料15万7500円)も人気とか。

 が、その一方で「フリーターとどこが違うのか!?」「所詮、高学歴エリートの話」など、アンチな意見も噴出。「クールなノマドライフ」をめぐるホットな議論が展開されているといった次第なのである。

◆不景気になると注目される“新しい”働き方

人材コンサルタントの常見陽平氏は、このノマドブームの背景についてこう分析する。

「ネット環境の整備など、“移動”を可能にするインフラが整い、同時にソーシャルメディアの普及で、より情報発信、人とつながりやすくなったという環境が後押しをしているのは確か。が、そもそも社会が不景気、先行き不透明になると新しい働き方に注目が集まる」

山本一郎氏も、会社経営者として同様の指摘をする。

「ここ1年半くらいですかね。業務委託の方の面接で、『僕、ノマドなんで』と言う人が増えました。でも、ただのラベルの違いで、ノマドです、と言われても、フリーランスですよね、というだけの話。ノマドはその人の能力を代弁する単語ではありません」

 そう。一言でノマドと言っても、その定義は曖昧で、「3つの軸――組織、場所、時間からの自由がポイントだと考えますが、その意味でも国境を超えて稼ぎ遊ぶノマド、ギャラ1本数百万円のノマドがいれば、1本1万円のフリーランスもいる」(常見氏)のが現実。なのに漠とした憧れだけが先行し、急速にバズワード化しているわけだ。まあ、「今のブームが終われば、次にまた新しいキーワードが出てくる」(山本氏)だろうから、今のうちに、ノマドについておさらいしておこうではないか。

◆時代ごとに生まれる“新しい”働き方

【明治初期~昭和初期】 「高等遊民」
恵まれた“インテリニート”は、この時代から存在した

【1970~1973年】「脱サラ」
サラリーマン、家庭、日本からの脱出が叫ばれた

【1987年】「フリーター」
リクルートの仕掛けにより、アルバイターのイメージ一新

【1995年】「SOHO」
Small Office/Home Officeを指すこの言葉、≒内職

【2001年】「ベンチャー」
IT関連で学生や若者の独立起業が注目された

【2008年】「インディペンデントコントラクター」
直訳すると独立業務請負人。プロワーカーとも呼ぶらしい

― ノマド入門(笑)【1】 ―




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