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サッカーブームに湧くタイで、日本語の応援歌が聞こえて来た!?

 日本人には馴染みは薄いかもしれないが、現在タイ国内では空前のサッカーブームが巻き起こっている。

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強豪SCGムアントン・ユナイテッドのサポーター。同チームにはかつてヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)に所属していた名プレイヤー、財前宣之も在籍していた

 1996年に発足したプロサッカーリーグ『タイ・プレミアリーグ』(以下TPL)がそれだ。熱狂的なサッカーファンが多く、白熱した試合でおもしろいと聞き、足を運んでみた。

 行ったのはバンコク郊外にあるSCGムアントン・ユナイテッドFC(以下ムアントン)の本拠地。このチームは昨季はリーグ第3位と有望なチームだ。

 試合開始2時間前から続々とサポーターが現れる。とにかくレプリカ・ユニフォーム着用率が高い。公式レプリカで900バーツ前後(2700円前後)。街中で売られる一般的なTシャツが高いもので200バーツ程度(約600円)であることから見ても、相当入れ込んでいないと手が出る値段じゃない。にも関わらず、むしろ私服姿でやってきたこっちが浮くほどみんな着ている。

 ピッチが間近に迫るスタンドに入る。すでに試合開始前から興奮の坩堝と化したホームスタンドから熱烈なファンの応援歌が聞こえてくる。タイ語なのでなにを言っているのかはよくわからないが、リズムはFC東京の応援歌に似ている。まさか、ねえ。

 試合は噂通り迫力とスピード感があり、ファン定着も頷けるものだった。

 別の日にバンコクの原宿、サイアム・スクエアやマーブンクロン・センターに隣接する国立競技場を本拠地とするBECテロ・サーサナFC(以下BEC)の試合も観に行った。バンコク在住日本人からBECの応援歌に日本語が混じっているという話を聞いてきたからだ。

 昼の熱気がまだ残る夕方6時。試合開始直前に始まった応援合戦の中、BECの応援歌の中に、確かに「燃えろ」という言葉が聞こえた。これか! でも、なぜタイのサッカー応援歌は日本っぽいのだろうか?

 この答えをBECの応援団長であるタッブルアンさん(37歳)が教えてくれた。

「実は2000年のアジアカップ・ウィナーズカップの準々決勝でBECが清水エスパルスと対戦した際にまとまりのなかった我々の声援に対して、彼らの応援スタイルはかっこよかった。それがきっかけなんだ」

 その後彼らはJリーグや日本代表、韓国やインドネシアのリーグの応援を参考にし始めた。ユーチューブなどの動画で情報収集し、アレンジを加える。日本代表の「エンターテイナー」や「VAMOSニッポン」、ベガルタ仙台、FC東京、浦和レッズなどを各応援団が参考にしているとか。

「特にうちとムアントンがJリーグや日本代表を意識しているって感じかな」

 あの「燃えろ」もやっぱりそんなところから?

「燃えろ? 『オーレオー』だよ、あれ。でも、燃えろ、いいかもね。今度取り入れてみようかな」

 言ってなかったのか……。

 TPLは1999年に発足したタイのプロサッカー最高峰リーグ。当初はバンコクのチームのみで構成されていた。2009年になり地方のリーグと統合され、現在はこのTPLとタイ・ディヴィジョン1、ディヴィジョン2の3部リーグ制になる。

 設立当初は賭け事の対象としてまともなリーグにならないのではないかと懸念されたが、意外にも健全に成長した。2009年と昨シーズンでは観客数が13倍にも伸び、タイ人有力選手の急成長や、各チームの応援スタイルが確立されたり、タイ国内だけでなく周辺諸国のリーグを突き放す勢いがある。タイで契約を結ぶ外国人選手の中には日本人選手が20名以上と、海外リーグで最も日本人が多いリーグとなっている。

 2012年2月17日にはTPLとJリーグのパートナーシップ協定、3月にはふたつのチームがJリーグのチームと業務提携、6月からはJリーグの試合がケーブルTVで放映される発表もあり、コアな日本人サッカーファンの注目も浴びる。

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観客動員数が’09⇒’11年の3年間で13倍という急成長を誇るTPL。日本選手も多数所属し、見逃せない!

 Jリーグの関わりでますます応援歌に日本のスタイルが持ち込まれる可能性もあり「燃えろ!」が本当に採用される日が来るかもしれない。 <取材・文/高田胤臣 写真・取材協力/ 「タイ・プレミアリーグに行こう! │ SAMURAI x TPL」(http://tpljp.net/)>




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