タイで「外こもり」締め出し政策が施行! ビザなし日本人滞在者はどうなる?
物価が安いタイにはリピーター外国人が多く、中には観光ビザでタイに居座る者も少なくない。日本人にもそんな滞在者がいて、ここ数年は「外こもり」などと呼ばれている。
ところが、今年8月13日からタイ政府はこういった、なにをしているのかわからない外国人を締め出す対策を打ち出した。まだ始まったばかりの対策への対応を模索している外こもりたちは今、タイ国内で右往左往している。
外国人がタイ長期滞在で苦労するのがビザだ。金銭はなんとでもなるもので、なくなれば不法就労や最悪物乞いで日銭を稼ごうと思えば稼げる(実際にバンコクでは白人などの物乞いを見かけることもある)。しかし、ビザだけは各種証明書などを用意しなければならず、簡単にはいかない。ビジネスビザは延長に用意する書類が辞書ほどの厚さになることもある。
最大90日間滞在できる観光ビザも特に東京のタイ大使館で取得するには就労・就学証明などを用意しなければならず、特定の職業に就いていない外こもりには容易ではない。
そのため、外こもりの多くはビザを取らずに入国する。日本人は30日間の滞在が許され、それが失効する前にバンコクから250km程度のカンボジア国境に出向き、いったんカンボジアに入国。すぐさまタイに再入国するという方法で長期滞在をする。これを「ビザラン」というのだが、8月13日にこのビザランが規制されたのである。
特にタイと隣接するカンボジア、ラオス、ミャンマー、マレーシアの陸路入国がビザなしでは厳しくなり、空路でもビザなしで長期滞在していると判断されると入国を拒否されることになる。ただ、身辺整理の猶予のためか、一発アウトにはならないような措置が取られてはいる。バンコクの隣、サムットプラカン県移民警察担当官が語る。
「即時入国拒否ではなく、年間を通して4回まではビザなしでの出入国が認められます」
これは入国スタンプ1回、出国スタンプ1回とカウントするので、実質2往復だ。毎年1月1日から数えられ、2015年に入ればまたリセットしてカウントされる。
ビザラン規制を旅行代理店はどう見ているのか。バンコクで旅行代理店を構える日本人に訊いてみた。
「旅行業界に大きな打撃はないと見ています。タイ雑貨などのバイヤーやトレーダーなどには厳しい措置でしょうが、旅行代理店にはあまり関係ないですね」
一般旅行者はこれまで同様にビザなしで入国し、30日以内に帰国するので問題は起こらない。主に外こもりに厳しい状況になり、ほかには出入国が多い日系企業の短期出張者にも影響が出る可能性がある。
ただ、タイの場合、法令が曖昧で係官によって対応が違う。どの程度期間を開けて出入国をしていればビザランとされないかなどの具体的なことがはっきりしていない。
実は2000年以降、外国人に対する長期滞在の規制が次々と発表されていた。しかし、明確に実施されたものはなかった。ところが、2014年5月に軍が政権を掌握して以降、細かいところまで取り締まりが実施され始めたのだ。そのため、多くの外国人もビザラン規制が今回は厳格に実行されると見ている。
ビザラン規制の緩和策として、8月29日にビザなしでも最大で60日間滞在できると発表されたものの、のんびりと南国をエンジョイしていた長期滞在者は今後しばらくは苦労が続きそうだ。 <取材・文・撮影/高田胤臣>
髙田胤臣(たかだたねおみ)。タイ在住ライター。初訪タイ98年、移住2002年9月~。著書に彩図社「裏の歩き方」シリーズ、晶文社「亜細亜熱帯怪談」「タイ飯、沼」、光文社新書「だからタイはおもしろい」などのほか、電子書籍をAmazon kindleより自己出版。YouTube「バンコク・シーンsince1998│髙田胤臣」でも動画を公開中
髙田胤臣(たかだたねおみ)。タイ在住ライター。初訪タイ98年、移住2002年9月~。著書に彩図社「裏の歩き方」シリーズ、晶文社「亜細亜熱帯怪談」「タイ飯、沼」、光文社新書「だからタイはおもしろい」などのほか、電子書籍をAmazon kindleより自己出版。YouTube「バンコク・シーンsince1998│髙田胤臣」でも動画を公開中
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