更新日:2012年03月28日 14:56
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北尾トロ『やっぱり”編集者の顔がくっきり見える雑誌”が好きですね』

世間では「電子書籍元年」なんて言われてるけど、SPA!読者なら「やっぱり紙の雑誌が好き!」という人は多いはず。そこで、目利きの出版&ウェブ業界人たちに「いま面白い雑誌」を挙げてもらい、その魅力を語ってもらった。さあ、どの雑誌から読んでみる? やっぱり”編集者の顔がくっきり見える雑誌”が好きですね 選者:北尾トロ
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’58年生まれ。著書『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』が映画化され、公開中。 9月に新しいノンフィクション誌『レポ』を立ち上げた 『レポ』公式サイト http://www.repo-zine.com/ 『野宿野郎』は、最初ネットで見つけて、たぶん面白いんじゃないかと思って買ってみたら、やっぱり面白かった。特に印象的な記事があるとか文章がうまいとかじゃないんだけど、醸し出すムードというか、「こいつらホントに野宿が好きなんだな」っていう(笑)。作ってるのは女性なんだけど、実際に野宿をしてて、読者も野宿してる。発信してることとやってることが一致してるのがいいよなあ、と。 『ワンダーJAPAN』も編集者の「こういうのをやりたい」って感じが出てますね。廃墟とか工場とか公園遊具とか、そういうのばっかり撮ってるマニアが集まって、すごいヘンテコな世界ができてくる。そこにさらにマニアが集まってきて……という、ある種、読者ページの塊みたいな部分も楽しい。 『TRANSIT』も「新しい旅の雑誌を作りたい」という姿勢がビッと通ってる。ガイドとしては偏ってるので役には立たない。でも、旅行雑誌って旅心を誘うのが大事じゃないですか。今そういう雑誌がほとんどなくて、実用誌ばかりになっちゃってるなかでは稀有な存在。その志に共感する人は、どの地域の特集でも買ってくれるでしょ。そうじゃなきゃ、これだけ続かないだろうし。そういう意味では『薪ストーブライフ』ってのも、ニッチなところでよく勝負してると思う。  やっぱり”編集者の顔がくっきり見える雑誌”が好きですね。「こういうのをやりたい!」と、気合満々でスタートして、結果は読者が出す、と。それがいつの頃からか、あらかじめ広告収入をアテにするとか、読者次第というよりクライアント次第になっちゃって、それが誌面に滲み出てる。そういう雑誌が消えていくのは当たり前のことだと思いますね。  今回、『レポ』という雑誌を立ち上げたんですけど、「この時代に何で紙の雑誌?」と(笑)。でも、電子書籍で「すごい!」ってのをまだ見てないから。単に「紙より安い」だけじゃつまらないし、「こんな表現は紙では無理!」となって初めて値打ちが出てくるわけで。まあ、僕はそのへん疎いので電子と紙を比べてどうこうじゃなく、現時点での「やりたいこと」が『レポ』だったんですけどね。(談) 『野宿野郎』
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編集・発行/かとうちあき。「人生をより低迷させる旅コミ誌」が キャッチフレーズの手作り感あふれるミニコミ誌。 かとう氏は先頃、著書『野宿入門』も上梓 『ワンダーJAPAN』
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発行/三才ブックス。「フツーの旅はもう飽きた。」 がキャッチフレーズの「日本の《異空間》探検マガジン」。 廃墟、工場、巨大仏、珍建築などがてんこ盛り 『TRANSIT』
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発行/euphoria FACTORY、発売/講談社。 「コラムとかも充実してるし、有名な人も結構出てくるけど 名前に頼らず企画中心」(北尾氏)と、ある意味、贅沢な作り 『薪ストーブライフ』
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発行/沐日社。薪ストーブのすべてがわかる。 「都内に住んでるし薪ストーブなんて買えないけど、 ないものねだりで『いいなあ、こういうの』と思っちゃう(笑)」 ― この雑誌がすごい! ベスト30【1】 ―
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