純資産1億円以上の大金持ちが海外投資へ
「ミリオネア」と呼ばれる100万ドル以上の資産を保有する富裕層は、2010年時点で日本国内に約174万人いるという。リーマンショック以降、そして今後起こると予想される増税に円のデフォルトリスク……。さまざまな逆風をものともせず、資産を年々増やし続ける富裕層たちは一体、凡人と何が違うのか? 富裕層の資産運用を手掛けるアブラハム・プライベートバンク代表取締役社長の高岡壮一郎氏が言う。
「最大の違いは海外資産への投資。一般層は国内の株や不動産など日本での運用を好みますが、インフレリスクや増税リスクに敏感な富裕層は、海外資産にも積極的に投資しています。最近は特に、ヘッジファンドとオフショア商品が人気ですね」
とはいえ、金融商品は玉石混交。大金持ちはどんな“玉”を拾い上げるのか。7/31発売の週刊SPA!「大金持ちだけが知っている最新投資先を大公開」特集では、純資産1億円を優に超えるニューリッチたちにその最新動向を聞いた。
シンガポールを拠点に国際税理士として活躍する石田秀明氏。バブル期に始めた株式投資をきっかけに、ヘッジファンドやミューチュアルファンドなどで資産を増やし、現在の総資産は数億円に達するという。石田氏は、海外事業の進出や国際金融投資のトータルサポートを行うほか、ロサンゼルスとラスベガスの不動産投資のコンサルティング・仲介も行っており、海外の不動産事情にめっぽう強い。今、狙い目なのは、アメリカと東南アジアの不動産だという。
「アメリカでは日本とは税制(特に減価償却)が異なることや、築年数ではなく『実際の使用に堪えるか』という点が最も重視されるため、数十年以上前の物件でも、いまだに資産として評価されているものも多くあります。リーマンショック以降、中古物件を非常に安く購入しやすくなり、利回り14%超という投資物件も珍しくありません。しかも円高ですから、日本人にとってアメリカの不動産投資は大きなチャンスなのです」
東南アジアの不動産のなかでは、特にタイとフィリピンに注目する。
「タイの首都バンコクは交通渋滞がひどく、『都心に住みたい』というニーズは強くあります。そのため、バンコク市内でもビジネスの中心街・スクンビットなどで、単身赴任者や単身者向けにスタジオタイプや1ベッドルームなどの物件の購入を検討しています」
さらに石田氏は、「実は今、日本株市場が狙い目」と話す。
「自動車メーカーや電機メーカーなど日本の有力な国際企業は、東南アジアをはじめとする新興国に工場をつくり生産拠点を移しています。その新興国が成長し、第二の消費マーケットになっています。東南アジアに進出している日本の有力な国際企業の利益は、新興市場でのうまみを享受した利益で構成されているのです」
直接、新興国に投資をするのはカントリーリスクや通貨リスクを伴うが、日本の事業会社が“フィルター”に入ることで、リスクを回避できるというわけだ。
「外国のファンドマネジャーはそこに着目し、新興国に生産拠点や販売拠点を置く日本企業を抜粋して株式ファンドを組成しています。しかもこういった企業は、ファンダメンタル評価は高いのに、リーマンショックや震災後の市場の硬直化によって低い値のまま放置されている。だから狙い目なのです。日本にいるとそう思えないかもしれませんが、海外から見ると『実は今、日本市場が面白い』というのは常識になっているんです。海外にいて強く思うのは、『日本を何とかしたい』ということ。日本で成功している方がそのまま日本で不況の波に呑まれることなく、海外でも頑張って、今度は外国から日本を救ってほしいですね。私も仕事や投資を通して、それに少しでも貢献したいですね」 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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