映画や小説では伝えられない「ゲームならではの文法」とは?【トップクリエイターが語る】
ゲーム業界のキーパーソンが登場! 【トップクリエイターの仕事場】
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30歳手前でゲーム業界に!「自分が100回やっても面白いが目標」
◆【後編】 「ゲームの文法」
アドベンチャーゲーム『タイムトラベラーズ』を制作するきっかけは、レベルファイブの社長である日野のひと言でした。僕自身は、以前に監督を務めた『428~封鎖された渋谷で~』で、ある程度アドベンチャーゲームをやりきった感があったんです。なので、モチベーションという部分で次に何をするか悩んでいました。その時に日野から「タイムトラベルものって好き?」と声をかけられて、「そりゃ好きですよ」ということになって(笑)。
僕が実写映画に目を向けるきっかけになったのが大林監督の『時をかける少女』。原田知世直撃世代です(笑)。他にも、小説なら『夏への扉』とか、映画なら『ターミネーター』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とかタイムトラベルものの傑作が畳み掛けてきた時代だった。だから、より傑作にしなければ……という高いハードルがある。ここをモチベーションにして挑戦しようかなと。
僕のゲーム作りの核はふたつ。ひとつは10代の頃に、今挙げたSF映画をはじめとするさまざまな作品から受けた衝撃を次のユーザーさんに返していきたいという思い。それからもうひとつは、ゲームの可能性の追求。ある日、ゲームシナリオを書いている時に、映画でも小説でも伝えられないゲームならではの文法にぶち当たったんです。一例を挙げると、『タイムトラベラーズ』なら、5人がタイムトラベルをするという部分。もしこれを映画で見せられたら、恐ろしく複雑に感じるでしょう。でも、ゲームはプレイすることによって、5人それぞれの状況や考え方を把握できる。実はこうした、ゲームだから成立するものがたくさんあった。それに気づいた瞬間、もうゲームを作らないわけにはいかない、と思いました。
【イシイジロウ氏】
兵庫県出身。映像制作の後、ゲーム制作に携わる。レベルファイブ入社は2010年。『428~封鎖された渋谷で~』など作品多数
(C)LEVEL-5 Inc.
『タイムトラベラーズ(3DS版)』 3DSで飛び出すタイムトラベラル |
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