[おかしなルール]暴走族の特攻服に刺繍するのはNG!?
―[おかしなルール報告書2]―
「400平方メートル以上の一軒家しか建てるな!」「犬、猫を10匹以上飼ったら罰金or懲役!」などなど、この世の中には思わず首を傾げたくなるような決まりごとが非常に多い。そこで今回は、前回同様の”気になる条例、法律”をはじめ、読者から寄せられたネタにも取材を敢行。これらのルールは果たして”悪法”か?
暴走族の特攻服に刺繍するのはNG!?
全国に数多く存在するといわれる”暴走族追放”の条例。その中でも、特攻服やのぼり旗の刺繍を請け負う業者にまで規制をかけるという徹底した態度を見せているのが、『広島県暴走族追放の促進に関する条例』(’02年4月1日施行)だ。暴走行為はもちろん、バイクを盗むなどの街頭犯罪が多発していたことから、全県民でこの問題に取り組もうとしたのが制定のきっかけらしい。
しかし、『へんなほうりつ』の著者、のり・たまみ夫妻は「この規制はまったく現実的ではない」と一蹴。条例内容に疑問を呈する。
「相手は”遠征”が得意な暴走族。バイクを走らせて県外に注文しに行くのは難しい話ではありません。また最近ではネットオーダーという手段もある。この条例の施行で、広島県の暴走族は激減したといわれますが、この制約が本当に功を奏したのかは疑問です」
一方で、弁護士の角田龍平氏はこのように語る。
「この条例は罰則こそないものの、行政指導を受ける可能性は十分あります。それゆえ、業者に対して自主規制などの”萎縮効果”が生まれることは間違いありません。そもそも特攻服はそれ自体では誰にも迷惑をかけないモノ。なのに、着る行為やつくる行為を制約するとは、不当に営業の自由を規制する条例だといわざるを得ません」
そのうえ、条例を守るにも相手が相手なだけに、注文を断るにはかなりの勇気が必要。まさに”業者いじめ”ともいえる条例だろう。
【のり・たまみ夫妻】
『へんなほうりつ』著者
夫婦のフリーライターユニット。世界10か国に滞在するなかで各国の法律に興味を持ち、独学で学ぶ。『へんなほうりつ』(小社刊)など、法律関連の著書多数
【角田龍平氏】
元芸人弁護士
コンビ解散後弁護士に。現在『サンデージャポン』(TBS系)出演。『角田龍平のオールナイトニッポンポッドキャスト』(ニッポン放送)も好評配信中
イラスト/テラムラリョウ
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