他人の手紙を勝手に見たら懲役!ではケータイのメールは?
―[おかしなルール報告書2]―
「400平方メートル以上の一軒家しか建てるな!」「犬、猫を10匹以上飼ったら罰金or懲役!」などなど、この世の中には思わず首を傾げたくなるような決まりごとが非常に多い。そこで今回は、前回同様の”気になる条例、法律”をはじめ、読者から寄せられたネタにも取材を敢行。これらのルールは果たして”悪法”か?
手紙を見たら懲役だがケータイは無罪!?
日常の連絡方法の手段として、もはやマストツールにもなっている今日のケータイメール。しかし、これらのプライベートの情報を他人が勝手に見たとしても、実は刑法上は何の問題もないという。その背景について、ウェブサイト『変な法律』の管理人のなかむらいちろう氏はこのように語る。
「ケータイメールを勝手に見る行為を規制するのに一番近しいと思われるのは、刑法133条で規定している『信書開封罪』。しかし、これは『封をしてある信書を開けた者』という限定付きです。そのうえ、刑法には『類推解釈をしてはいけない』という前提があるため、たとえ手紙と似ている存在であっても、盗み見を対象にするのは困難と思われます」
ならば、法改正を行う必要があるのでは?……と思いきや、話はそう簡単ではないらしい。
「ケータイの盗み見に罰則を科すとなると、例えば、電車で隣の席に座っている人のメールをチラ見しただけでも対象になる可能性があります。ケータイメールが手紙と同じぐらい使用されている現在の状況を考えると一見不均衡のようにも感じられますが、ここは冷静な対応が必要だといえるでしょう」(なかむら氏)
いくらおかしい法律でも、時には現状維持も重要ということか。
【なかむら いちろう氏】
ウェブサイト『変な法律』管理人
’69年生まれ。立命館大学法学部卒。’00年にウェブサイト『変な法律』を開始。著書に『大爆笑「変な法律」集「俺の酒が飲めねーか」は犯罪です』(講談社)
イラスト/テラムラリョウ
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