カード番号を堂々と売り捌くロシアンハッカーたち
― 事情通が語る[世界ハッキング]最新事情【1】 ―
1月、ハッカー組織「Anonymous」がPSNのアカウントをハッキングしたのをはじめ、随所でハッカーたちの愉快犯的行為が相次いでいる。彼らの多くは奪ったデータを「戦利品」としてネット上に公開し満足を得るが、一方では「戦利品」を密かにカネに換えて大儲けする輩もいる。そうしたハッキングビジネスサイトはロシアで増加している。
ロシアのサイトが扱っている情報は、ハッキングで入手した各種クレジットカード情報(CCV番号付き)、各種銀行口座(数万USドルの残高が残っているものも)、実物のクレカ・キャッシュカード作成、世界的企業の身分証偽造、ボットネットの時間貸しや販売、さまざまなサーバーのデータファイルなど目白押し。無料サンプルもあり、まさに「サイバー犯罪のデパート」だ。
◆個人情報を表サイトで普通に販売!
クレカ販売の基本は「未チェック・再販なし」。入手した番号を販売前に有効かどうか調べると、確認履歴が残り、それがもとで利用停止になりかねないからだ。そして、この中にもさらに詐欺が存在する。ハッキング事情に詳しいジャーナリスト・ウラジミール氏は「購入希望者側は、カード番号が未販売のものなのか確認するすべがないため、悪質なハッカーはそれを逆手に詐欺行為を行います。例えば、同一のカード番号を複数の顧客に販売するなど。そうすると複数の買い手の誰かがまた転売し、数日後には使い物にならなくなる。代金だけ受け取って、商品を送らないケースも多い」と話す。
ロシアのハッカーサイトを見ると、これ見よがしな「CC(クレカ)販売」広告バナーが貼ってあることが多いが、これは「つまりそのサイト運営者が、バナー広告の業者を『未チェック・未販売専門・必ず商品を届ける優良業者』と認めているということ」(ウラジミール氏)だという。
何が「優良」なのかわからないが、“アフターサービス”も万全だ。例えば100件のカードのうち最低でも6~7割が有効なものを1人の顧客だけに販売し、使えない番号でクレームがあれば即座に代替番号を送る。カスタマーセンターはいつでもICQ(メッセンジャー)で連絡可能、VPNの使用をはじめセキュリティで身を固め、顧客の秘密も厳守する。
そういう意味では、通常の合法的オンライン商取引よりもある意味で厳しい世界を生き抜いてきた“優良業者”と言える。
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