偽物乱立、仲間割れ……中国ハッカー界はカオス
― 事情通が語る[世界ハッキング]最新事情【2】 ―
尖閣諸島問題やら何やらで日本のWebサイトにちょっかいを出す、中国ハッカー組織は金儲けに血眼になっている。中国ハッカーからの攻撃といえば、日本のメディアではすぐに「中国紅客聯盟の仕業」として報じられる。「中国紅客聯盟」とは、今から10年前の01年、米中サイバー戦争で一躍その名を轟かせた伝説的グループだ。
だが、実のところ11年6月現在、「中国紅客聯盟」を名乗る組織は少なくとも19グループある。
オリジナルの紅客聯盟は04年末に解散後、まったく活動していない。その後「紅客」ブランドで虎の威を借る新興グループが続々と現れ、勝手に「紅客」を名乗っているのだ。
そのためオリジナルは他の18グループすべてを「偽物」とし、04年以前の活動を記念するWebサイトを立ち上げた。偽グループたちは、なぜ「紅客」を名乗るのか? ハッキング事情に詳しいジャーナリスト・ウラジミール氏は語る。
「『米中サイバー戦争』の伝説を笠に着ようとする一番の理由は、金儲け。実はそれぞれの『紅客』は、ハッカー組織を装っていますが、そのほとんどが初心者にハッキング方法を教える『オンライン・ハッカー学校』として利益を上げています。その点で、中国ハッカーのビジネスは、ロシアのサイバー・アンダーグラウンドとは違う。というか、中国じゃクレカはあまり普及していない(与信システムがきちんとしていないので、銀聯デビットカードが一般的に使われる)ですからね」
6月、南沙諸島問題をめぐり中国とベトナムとの間で起きたサイバー戦争。
6月まで判明しているだけで、300近いベトナムの政府・企業Webサイトが「紅客」の餌食となった。しかし各「紅客」グループはそれぞれ自分たちが改竄したベトナムWebサイトのスクリーンショットを並べるのだが、ここで仲間割れが勃発する。
「例えば『紅客A』が『俺たちの戦果だ』として並べた改竄ウェブの1つを、別の『紅客B』が『それは俺たちがやったサイトだ。嘘つくんじゃねえ』と糾弾。すると『紅客C』が『お前ら全員インチキだ。全部俺たちがやったんだ』などと言い出す始末。しまいには『紅客なんて全員、金儲けしか頭にないペテン師グループだ』と、紅客を追放するハッカーグループまで現れる始末です。このまとまりのなさが、いかにも中国らしい」(ウラジミール氏)
中国のハッカー界はしばらく内乱が続きそうだ。
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