ゴミを34種類に分別!? 気の遠くなる条例とは
―[おかしなルール報告書 Vol.3]―
“海岸で夕日を眺めながらお酒を飲んだら過料徴収”されるかもしれなかったり、”ポイ捨てしただけで広報誌に名前を掲載”される可能性があるといった、おかしなルールを過去2回にわたって報告してきた本連載企画。3回目となる今回も、読者からの報告を含め、”首を傾げたくなる”法律や条例の是非を問う!
対象>>>【面倒くさがり屋】
ゴミを34種類に分別して捨てなくてはならない!
ビン、缶、燃えるゴミ、燃えないゴミといった程度の分別は、もはや当然だろうが、その数が34種類あるとしたら……。
想像しただけで気が滅入るほどゴミを分別しなくてはならない町が徳島県にある。’03年に「ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)宣言」を行った上勝町だ。
’20年までにゴミを完全になくすと宣言した町に暮らす約2000人の住民は、ゴミを34種類に分別して捨てている。上勝町役場から業務委託を受けているNPO法人「ゼロ・ウェイストアカデミー」にその経緯を聞くと、「上勝町では’97年までゴミは野焼きにしていましたが、環境汚染が問題となり、小型の焼却炉を導入しました。しかし、それもダイオキシン規制法に引っかかって使用不可に。財政が豊かではないので、大型焼却炉を購入できず、可能な限り分別してリサイクルしようということになったのです」とのこと。
なお、34種類というのはゴミ引き取り業者の指定によるものだ。
「『ゴミも分別すれば資源』という言葉は定着し、細かな分別をすれば地球環境にとってのメリットにはなるでしょうが、半面、複雑すぎれば不法投棄の横行といったリスクを増大させることになりかねません」(なかむら氏)
確かに分別が面倒となれば、その辺に捨てる人も出るだろう。
また、のり・たまみ夫妻は、ゴミ収集の仕組み自体が法律違反ギリギリではないかと指摘する。
「廃棄物処理法では『市町村は、一般廃棄物を収集し、運搬し、処分しなければならない』と定めていますが、上勝町では住人自らが町にたった1か所しかない日比ヶ谷ゴミステーションまでゴミを運ばなければいけません」
必死で分別した上にゴミ捨て場が遠かったら……住みたくない!
【なかむら いちろう氏】
ウェブサイト『変な法律』管理人
’69年生まれ。立命館大学法学部卒。’00年にウェブサイト『変な法律』を開始。著書に『大爆笑「変な法律」集「俺の酒が飲めねーか」は犯罪です』(講談社)
イラスト/テラムラリョウ
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