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【面影ラッキーホール】20周年記念ライブレポ 吉本隆明も絶賛したバンドの魅力とは?

 戦後思想の巨人、故・吉本隆明氏が「この人はうますぎるほどの物語詩の作り手だ」とそのストーリーテリングの巧みさを褒め称え、批評家・町山智浩氏や、脚本家・宮藤官九郎氏も大絶賛する、面影ラッキーホールというバンドをご存知だろうか。

 ボーカル・aCKyの歌声とその歌詞世界は、ムード歌謡のように艷やかで猥雑。ホーン隊3人、パーカッション2人、コーラス2人など、計13人の大編成が生み出すサウンドは、ときには甘く切なくムーディで、ときには超どファンク。音楽性を一言で表せば「X指定ノワール歌謡ファンク」という、世界でも唯一無二のバンドなのだ。

 作品の発表ごとに物議を醸し続けてきた彼らも、今年で活動20週年。ニュー・アルバム『on the border』発売に合わせ、8月19日に渋谷WWWで行われたライブに行ってきた!

 大音量で会場に流れていた場内音楽が「面影」の部分で突然ループを始めると、湧き上がる歓声に合わせてメンバーが登場。新作のオープニングナンバー『コモエスタNTR』からライブは始まった。

「妻を寝取られ(NTR)たい」という背徳的な願望を歌ったこの曲は、なぜか青空へと抜けるようなホーンで幕を開けるなど、歌詞とは裏腹に明るさ満点の雰囲気。昭和のアイドルのような、コーラス隊のキャッチーで楽しげな振り付けにも乗せられ、会場は笑顔で踊って騒いでの大盛り上がりとなった。

 そして気づけば『パチンコやってる間に産まれて間もない娘を車の中で死なせた…夏』なんて問題アリアリな曲でも、みんながノリノリで踊っているという、かなりおかしな状況に。開始から10分足らずで、会場は完全に“面影ワールド”の虜となってしまった。

 曲間のMCでaCKyは「本当はブランキージェットシティみたいな音楽をやりたい」「Googleで調べたらミスチルも20周年で。一体どこで差がついたのか…」などと笑わせつつも、女の哀しい独白を美メロに乗せた『好きな男の名前 腕にコンパスの針でかいた』、ダメ男の人生に舞い降りた奇跡を綴る『あんなに反対してたお義父さんにビールをつがれて』などでは会場もしんみり。ニッチで過激なテーマを選びながらも、そこに潜む人生の悲哀や可笑しみを引き出し、一つの歌にしてしまうのは、このバンドの真骨頂だろう。

 その後も『コレがコレなもんで』では、みんなで小指をたてて、お腹が大きいジェスチャーをしてと、振り付けを楽しみながら大合唱。残りの曲があとわずか…と告げた観客から「えー!」と不満の声が上がったときは、「『もっと』はベッドの上でね」なんて返していたが、しっかりアンコールにも登場。夏の全国高校野球大会とのタイアップを前提に書かれた『おれのせいで甲子園に行けなかった』などを熱唱しつつ、なぜかaCKyはブリーフ一丁になり、ライブは終了となった。

⇒【ライブ画像】はこちら http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=276606

 なおニューアルバムの1曲『おかあさんといっしょう』は現在PVを公開中。「子どもと母親が戯れてるだけの歌なのに、変な勘ぐりをする人がいるんですよ。でもそれは、お前らの心が汚れている証拠なんだ!」とaCKyはライブで憤っていたので、自分の心の美しさを確かめる意味でも、ぜひ一度確認してほしい。 <取材・文/古澤誠一郎 撮影/田辺龍一郎>

●面影ラッキーホール – おかあさんといっしょう
⇒PVはこちら http://nikkan-spa.jp/276593

【面影ラッキーホール】
1992年創設。今や日本に現存する唯一(?)の非感謝系音楽実演家として知られる、X-RATEDノワール歌謡ファンクバンド。ヴォーカル、ドラムス、キーボードのほか、ギターもコーラスもパーカッションも2人ずつ。後はベースにホーン隊にと、数えるのも面倒な計13人組。今年で活動開始から20周年となり、8月15日にはニュー・アルバム『on the border』を発表した。http://p-vine.jp/artists/omokage-lucky-hole

on the border

『おかあさんといっしょう』も収録

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