クラウドで「管理すべきもの/すべきじゃないもの」線引きは?
スマホ時代の到来で、クラウドサービスが手放せない!というユーザーも多いはず。だが、レンタルサーバ会社のデータ消失事件で、その安全性に疑問符が。クラウドと賢く付き合う極意とは!?
◆置くデータと置かないデータの線引きを!
「ファーストサーバで起きた問題はヒューマンエラーであり、ほかのサービスでも起きる可能性はあります。Dropboxなどにサーバを提供しているamazonは、データ保存についてほぼ100%の堅牢性を謳っていますし、グーグルも最新のテクノロジーを持っていますから、ある程度は信頼できるでしょう。ただし、過信は禁物です」とは、ITライターの柳谷智宣氏。
GmailやDropboxなどのサービスについては、そこまで不安に思う必要はなさそうだが、だからと言って安心するのは早い。ITに通じたベテランユーザーたちの本音は「クラウドは手放しでは使えない」。その理由は、やはり「データの流出」にある。
「アドレスが流出して、ユーザーにスパムメールが送られてくる……といった不祥事は、過去にDropboxでも起きています。もちろん、そのたびに対策が講じられているとはいえ、ハッカーなどが絡んでくるとイタチごっこに。クラウドで管理しているデータそのものが流出する可能性も否定できません」(ITライターの柳谷智宣氏)
それを踏まえてクラウドサービスを利用するには、「個人情報はなるべく置かない」のが原則。
「よく、いろんなアカウントのIDやパスワードをGmailのアドレスに転送したり、PDF化してEvernoteに保存する人がいますけど、これはちょっと気になります。明確に危険とまでは言いませんが、さすがに自宅のPCに置くくらいが限界」(モバイル評論家・法林岳之氏)
そう考えると、電話帳のデータなども「ドコモ電話帳バックアップ」のような、バックアップと復元に特化したサービスに預けるほうが安心。
「そうでないと、どこで何にデータが流用されるかわからない怖さがある。『LINE』がまさにそうで、自分の電話帳が、他人の電話帳と勝手に関連づけられてしまうわけですよね」(法林氏)
ちなみに、グーグルでは、グーグルドライブなどにアップロードされたデータは、グーグルにライセンスが渡るということを、利用規約に明記している。データが勝手にどこかで使われた……というような例はまだないものの、あまり愉快な規約ではない。何か想定外のトラブルが起きた際に、責任を追わなくて済むように……という狙いもあるのだろう。やはり、クラウドに「置くもの」と「置かないもの」の線引きは、明確に決めておいたほうがよさそうだ。
「クラウドに預けておいて、一番便利で罪がないのは、短期的に必要になるデータでしょうか。旅行や出張では、宿泊先などの必要な情報をPDF化して、Evernoteに保存しておけば、スマートフォンだけで確認したり、提示できるのが便利。飛行機のeチケットも定番ですね」(法林氏)
日本ではJASRACの関係で、まだ正式に提供されていないが、音楽データをサーバに預けてスマホなどで聴く「グーグル・ミュージック」のようなサービスも、クラウド向きと言える。
近いうちに、クラウドはもう1、2回は深刻な大トラブルを起こすだろう――と柳谷氏は言う。だが、世界がクラウド化に向けて進んでいるのも間違いない。上手な付き合いを心掛けたいものだ。
― 本当は恐ろしい!?クラウドサービス【3】 ―
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