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孤立死しかけた者が語る一人死にゆく恐怖

孤立死しかけた者が語る一人死にゆく恐怖 「今の日本でも、餓死はありますよ。ある日突然、動けなくなるんです」  そう話すのは都内で一人暮らしの高木剛さん(仮名・38歳)。慶應義塾大学卒と高学歴な彼だが、在学中に躁鬱病を患ったのをきっかけに人生の歯車が狂った。 「病気が原因で希望職種に就けず、ひどい挫折感がありました。それで社会に出そびれてしまった」  以後、家賃は親が振り込み、光熱費は引き落とし。躁鬱の薬を服用することで虚無感に襲われ、寝る時間は日増しに増えていく。当然、経済的にも困窮し、食事は一日1食の生活を長年続けていた。 「お腹がすいても、『自覚があるうちはまだ大丈夫』と思っていました。けれどそのうち、気づいたら本当に動けなくなっていて……」  そのまま数日が経過。意識が消えゆくなか、偶然、生まれた子供を見せようと実家から訪れた妹に発見され、病院に搬送された。  28歳のフリーター・河野弘さん(仮名)は上智大学を卒業して大学院に進むが、雰囲気に馴染めず1年で中退。その後、実家に引きこもるも、それをとがめる親との確執から家を出て、派遣社員として職場を転々としながら安アパートで一人暮らしをしていた。 「ある日、体がだるかったので仕事をサボって、そのまま2日、3日寝続けたんです。さすがに腹がすいて起きようとしたら、体がまったく言うことを聞かなくなっていました」 トイレにも行けないので、糞尿はそのまま垂れ流し。悪臭のなか、「このまま死んでいくのではないか」と絶望した。 「連絡を取ろうにも、料金未払いで携帯も固定電話も通じない。家に来てくれる人なんていない。悲しくて……ずっと泣いていました」 生きることを諦めかけた5日目、不審に思った派遣会社の人間が訪れ、なんとか一命をとりとめた。 重度のネット中毒者は孤立化に陥りやすい また、孤立化の原因は病気や経済的なものだけではない。重度のネット依存も危険性をはらむ。 一日のほとんどをネットをして過ごす田中健一さん(仮名・30歳)は、「ネット以外で人と関わりたくない。知人ならなおさら」と話す。 「外部と連絡をとるのはツイッターだけでいい。それがなくなったら僕は”死んだ”ということです」 もともと内気な性格のため、友人はほぼいない。学生時代から「もし自分が挨拶しても返してくれなかったらどうしよう」などと、最悪のケースを真っ先に考えてしまうという。現在、家賃などは親からの仕送りでまかなっている田中さんは昨年末、インフルエンザによって家の台所で倒れた。40℃を超える高熱で意識はもうろう。症状のひどさで身動きもとれず、3日間を台所周辺で吐瀉物にまみれながら過ごしていたという。 「さすがに死んでしまうと思い、なんとか外に這い出ました。それでも、知り合いには連絡したくなかった。会いたくないからです」  孤立化を招くその思考こそが、日本社会の抱える最大の問題なのかもしれない。
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高木さんが服用する躁鬱病の薬。 長年の使用により「飲むと感情が波立たなくなる」 というが、飲まずにいれば病で苦しむ悪循環
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チラシが入ったまま放置されている河野さん宅の玄関。 吉田氏によればこれも「孤立死しやすい兆候」だという
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自宅のパソコンでネットをする田中さん。「他人と話して、変に空回りしたくない。 だから一人でネット中継を見ていたほうが楽」と話す
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