金融緩和政策で景気が回復しない理由

アメリカの株価が上昇している。これで景気も回復の兆しを見せるのかと思いきや、そんなことはないという。アメリカ国民の多くがまだまだ苦しい生活を送り、オバマ大統領の政策に否定的だというが、いったいなぜ? ⇒【前編】はこちらhttps://nikkan-spa.jp/300207 ◆株価が上がっただけで景気回復と言えるか?答えはNOです!【後編】 (現役金融マン ぐっちーさん)  コストをカットして、キャッシュを貯めこんだ企業の株価は上がりますが、実際はリストラされて失業者が溢れだした。これを解消するために日本もアメリカも超金融緩和政策をとります。これにより金融機関が貸出金利を下げることができ、低金利下で企業の投資意欲が回復、これにより雇用も生まれ景気が回復するというのが経済学の教科書。ですが日米ともそうはなっていない。最大の理由はどんなに金利を下げても企業が投資リスクを取らない、という点。利子を下げればそれによって投資が増え経済活動が活発化、とは必ずしもならないのです。  多くの企業経営者は実は金利などは気にしておらず(よほど借金をしていると別ですが)将来の需要がどれだけあるか、という点だけを見て生産調整をします。失業率が高く給料が上がらない状況では需要増大の見通しが立たない、よって投資を控え現金をため込む、という悪循環が当然発生します。  ちなみに金利が下がったことで、お金を安く借り、自社株を買い戻す企業まで出てくる始末。株価が上がっても……、というわけです。 【今週の数字】 アメリカの8月の失業率 8.1% 7月から0.2%は下げたものの依然として、8%台で推移している。リーマンショック以前の水準と比べるとこちらはまだ同じ域には達しておらず、いまだに2~3%高い水準。国民の不満・不安はつきない
'11年のアメリカの企業内部留保金の統計

'11年のアメリカの企業内部留保金の統計。株価上昇の恩恵か、'12年はどの分野も企業資金が潤沢にある予想が出ていた

【選者】現役金融マン ぐっちーさん ウォール街で20年生きてきたノウハウをブログに執筆し、いち早くサブプライムローン問題に警鐘を鳴らしていたアルファブロガー。金融と経済を中心としたオピニオンブログ「THE GUCCI POST」(http://guccipost.jp/)を主宰している ― 株価が上がっただけで景気回復と言えるか?答えはNOです!【2】 ―
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