更新日:2016年09月08日 20:55
お金

「ウクライナ問題はロシアの視点で見よ」現役金融マンぐっちーさん

増税後の日本経済もガタガタだが、「ロシア問題にも目を向けよ」と言うぐっちーさん。これが長引くほど、欧州諸国は甚大なる被害をこうむるというのだ。さらに問題はアジア、そして日本にも拡大する危険性をはらんでいる。 ◆視点を変えればロシア問題の要点がはっきり見えるのです!
(現役金融マン ぐっちーさん)
ぐっちー氏 日本経済は消費増税後の経済統計がガタガタで、今回発表された4-6月期GDPは年率6.8%のマイナス。東日本震災時の1-3月期で年率マイナス6.9%だったことを考えれば、これはあの震災並みの打撃があったと言えます。その元凶、消費税はおそらく年末に10%になることが決定。これは看過できない状態ですよね。  一方、国際情勢は賑やか。今回はなかなか情報が入ってこないウクライナの話をロシア側からの情報を基に分析してみましょう。だいぶ風景が違いますよ。もともとウクライナの政変に端を発し、どちらかというと親ロシアだった前ウクライナ政権がクーデターによって倒されました。ウクライナ国内に多数のロシア人が存在するロシアとしては、その人たちの保護というのは大事な問題。さらに新しくできた政権には、超保守主義の人間(例えばユーロ統合反対)や、果てはネオナチの人間まで含まれており、ロシアにとってはとても承認できるような組織ではなかった。  そこでいち早く反対を表明。ところがそのどこの馬の骨がいるかわからない政権を、大した議論もせずにオバマ大統領が支持を決定。それに欧州が追随した、というのがロシア側から見た風景です。クリミアはもともとロシアの土地なのでそこを保護するというのは極めて自然な流れ。むしろネオナチまで入っている現政権を承認するのはけしからん、という立場は論理的に正しいかもしれません。  だがアメリカを中心に旧西側諸国はクリミアから始まり、今の国境紛争にいたるまで一貫してロシアを非難。ついに経済制裁を加えるにいたりました。ロシアの政権要人の外貨資産を差し押さえるという原始的な措置ですが、軍事物資の輸出停止などに発展し、差し押さえの範囲も広がりつつあります。しかし、この制裁、本当に効果があるのでしょうか。ロシアは反撃し、欧州その他制裁に賛成した国からの農産物を輸入停止にしました。  これで困ったのは欧州の農業国。オランダなどでは出荷できない作物が腐り始め、大騒ぎになっています。また、欧州は天然ガス供給の20%をロシアに頼っています。もしロシアがこれを止めたらどうなるか?  さらに欧州諸国はロシアとの貿易だけでなく、直接投資も相当金額行っています。もし、西側の経済制裁の影響でロシアが破綻でもしたら、カネを失うのは欧州の大手銀行。いざとなれば「経済自爆テロ」にいたる可能性まで秘めているのです。 ⇒【後編】「ロシアの切り札は意外と多い」に続く
https://nikkan-spa.jp/705074
【選者】現役金融マン ぐっちーさん ウォール街で20年生きてきたノウハウからブログを執筆するアルファブロガー。金融と経済を中心としたオピニオンブログ「THE GUCCI POST」(http://sweetpoolside.jp/)を主宰している
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