「絆」を求めて保守系サイトに…ネトウヨができるまで
男も35歳ともなると、仕事でもある程度責任のある立場になり、結婚や子供の誕生といった人生の次のステップを歩み……と、言いたいところだが、中には次のステップへと踏み出せずに迷走し始める男性も少なくない。その具体的な迷走ぶりを紹介していこう。
◆仕事が大変なとき出合った保守系サイトが救いに
川本祐輔さん(仮名・36歳・独身)
青春をやり直しても、人生を語っても、虚しさは募る一方。やっぱり人間は「絆」が大事とコミュニティを求めた結果、これまたトチ狂ってしまった人がいる。最近妙に右傾化してしまったフリーのITコンサルタント、川本祐輔さんだ。
「3年前、10年勤めた外資系コンサル会社をマイルドにクビになったのを機にフリーになり、古巣の先輩から仕事をもらっているんですが、最近この単価が半減してましてね。年収500万円稼ぎたければ、この年で徹夜も覚悟しなきゃいけない。独身だから生活していけるものの、やってられないですよ。そんな日の“友”になったのが保守系の掲示板でした。実は、IT業界で成功してるヤツらは反日の在日だけ。成功したけりゃ、朝鮮人と結婚するしかない。自分の仕事がうまくいかないのも、在日のせいだったと気づきましたよ」
いつのまにか、夜な夜な「民主」+「カス」、「反韓」「マスゴミ」「陰謀」などのワードで検索。“お仲間”たちとアツく持論を戦わせるように。と同時に、小林よしのり、石原慎太郎、田母神俊雄などの著作に傾倒。気づけば、ニコニコ動画や2ちゃんねるに、「在日帰れ」「ミンス工作員」などと書き込むリッパなネトウヨに。
「一般人に持論を語ると引かれることが多いから、最近じゃネトウヨ系の人ばかりと仲良くしてます」
いよいよ川本さんの右傾化は“完成”に近づきつつあり、そのせいで、先日仕事で訪れた上海ではちょっとした騒ぎまで起こした。
「ホテルでルームサービスを頼んだら、頼んだのと違う料理を持ってきたので、『お前ら、日本人に恨みでもあんのか』と脅してやったら、警察を呼ぶ呼ばないの騒ぎにまで発展した。このことがバレてクライアントに『帰れ』と言われるし、ホント、中国なんてロクなもんじゃないです」と、ちっとも懲りていない。これでは「絆」どころか孤立する一方な気もするが……。
【こじらせ男の神器】
最近のお気に入りは小林よしのりの『国防論』。震災後に必要な大和魂を教えてくれる
イラスト/ただりえこ
― 35歳が分岐点[人生をこじらせた男たち]の共通点【7】 ―
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