『まどマギ』の自己犠牲論を引用して説教する上司
男も35歳ともなると、仕事でもある程度責任のある立場になり、結婚や子供の誕生といった人生の次のステップを歩み……と、言いたいところだが、中には次のステップへと踏み出せずに迷走し始める男性も少なくない。その具体的な迷走ぶりを紹介していこう。
◆深夜アニメに人生訓を見いだし、アニメを引用して若手に説教
田中 靖さん(仮名・36歳・独身)
「30代になってから、アニメの面白さがわかったんです」と熱く語るのは、現在PR会社に勤める田中靖さん。スーツをパリッと着こなす清潔感溢れる外見に似合わず、田中さんはここ数年アニメにハマっている。
「最近、僕の周囲の友人たちはみんな結婚してしまい、子供がいる友達は子育てに夢中。僕は彼女もいないし、結婚の予定もないのでとにかく暇で……。それまでアニメは全然興味がなくて、観たことがあるのも『エヴァンゲリオン』ぐらい。でも、2年前の深夜に何げなく『涼宮ハルヒの憂鬱』を観てたら、実はアニメって深いんだって痛感して。それからは、暇さえあれば深夜アニメを観ては、分析しています」
例えば、最近話題になった『魔法少女まどか☆マギカ』。少女が自分の願いと引き換えに魔法少女になり、人類の敵と戦うというストーリーだが、これに対して田中さんは「自己犠牲の物語」を見いだしたという。
「自分もいろんな仕事をしてきて、『会社のためには体を張らなきゃ』と思うことも多いから、つい観ると感情移入しちゃうんですよ。ほかにも死んだ幼なじみと高校生たちの交流を描いた『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』なんかは、子供時代の純粋さを大人たちに思い出させるべく、作られた作品だと思うんですよね……」
自分だけで楽しむ分にはまったく問題ないのだが、ときには飲み会などでアニメにからんだ人生論を語り、煙たがられることも。
「先日も、飲み屋で後輩の女子が仕事のグチを言うから、思わず『まどマギ』の自己犠牲論について、数時間説明。翌日には、『これを観ろ』とブルーレイも貸してやりました。若いヤツは自称・アニメ好きが多いですけど、せいぜい観てても『エヴァ』ぐらい。何もわかってないんで、俺が教えてやんなきゃという自負があるんです」
具体的な仕事のアドバイスをしたほうが喜ばれるのでは……。
【こじらせ男の神器】
先日、後輩OLに貸した『まどか☆マギカ』のブルーレイ。後輩がいつまでたっても観てくれないのが不満
イラスト/ただりえこ
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