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電子書籍の自費出版で儲かるのは煽っている業者

誰でも電子書籍を販売できる! そんなアマゾンの革命的サービス「キンドル・ダイレクト・パブリッシング」(以下KDP)が日本でもスタートした。手軽に自費出版できるのがウリだが、怪しげなタイトルも散見されるキンドルストア。新手の市場にうごめく魑魅魍魎の正体とは? ◆出版志望者をカモにする悪徳業者たち 電子書籍 混沌の様相を呈するKDPで心配されるのは、出版志願者をカモにするビジネスだ。 「今いちばん儲かるのは、『キンドルやると儲かるよ』と煽っている業者だと思います。そうやって、電子書籍の形式に編集する作業を請け負ったり、売れるための営業支援でお金を取るというビジネスが流行っていますね」(電子書籍のシステムなどに詳しい村上福之氏)  とりわけ、今キンドルを触っている人は、キンドルに興味がある層なので、悪徳業者もカモにしやすいとか。  キンドルで本を出すこと自体に、初期のコストはほとんどかからない。小説などのように文字主体の簡単なレイアウトであれば、グーグルドキュメントで作ったファイルを、専用ソフトで変換するだけでも出版用ファイルは完成。永江氏が「自費出版ならぬ自己出版」と形容するゆえんだ。  手順も、それこそキンドルストアで売られている100円程度の電子マニュアルを参照すればクリアできる。つまり、基本的には編集と言っても単純作業なのだが、そこに高額の外注費を払う“情弱”ユーザーも少なくない。 「iアプリのときにも、相場以上の制作費をふっかけるビジネスがあったんです。電子書籍でいえば、実際3万~10万円が相場のところを『人気上位にランクインさせてあげる』などと謳って50万円もふっかける。電子書籍は紙の本とは比較にならないくらい、ほんの少し売れただけで上位にランキングされます。業者が自分で100冊も買えばベスト50くらいには入るでしょう。それでも100冊なら経費はたかだか1万円ですからね。あるいは『30万円でベストセラー作家になれる!』なんていう商材を出して、最後のURLで自社の電子書籍作成サイトに誘導するという手も見られます」(自身もKDPで電子書籍を出している、コンサルタントの永江一石氏)  黎明期だけに、怪しげな儲けのタネが跋扈する電子書籍の自費出版。単純に「誰でもカンタンに本が出せる夢のような時代がやってきた!」と喜んでもいられないようだが、そんなカオスっぷりも含めて、ホットなジャンルなのだ。 【村上福之氏】 クレイジーワークス代表。歯に衣着せぬ物言いで、ネットの世界で注目を浴びている。初の著書『ソーシャルもうええねん』(Nanaブックス)が話題に。電子書籍のシステムにも詳しい 【永江一石氏】 コンサルタント。月間30万超アクセスの人気ブログよりベストエントリーを集めた『素人の顧客の意見は聞くな 永江一石のITマーケティング日記』がキンドルストアで販売中 ― Kindle自費出版で情報商材戦線に異状あり!?【3】 ―
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