“Mr.ストップ高”が描く『中国バブル崩壊』のシナリオ
「崩壊前夜」と言われて久しい中国バブル。そんななか「いよいよ、崩壊の芽が出てきた」と指摘するのは、“Mr.ストップ高”の異名を持つ株式ジャーナリストで個人投資家の天海源一郎氏だ。
「今年の6月上旬。カナダのトロント市場に上場されている中国の森林開発会社シノ・フォレストの株価が急落しました。5月31日の終値19.25カナダドルをつけていたのが、6月6日には5.23カナダドルにまで落ちたんです。理由は同社の不正会計疑惑。ただ、実体が怪しいとされる会社は日本にもたくさんあるのが実情です。
しかし、私が驚いたのは、同時に他の中国株も下げたことです。米ナスダック市場に上場している百度(バイドゥ)は、6月2日の終値138.49ドルが、8日には120.67ドルとなった。潜在的な中国の“数字”に対する信用のなさが、まさに現れたわけです。
加えて、中国の経済指標って、事前予想となぜか大きくブレない。日本やアメリカだと、事前予想に反した数字がでることはよくあるのですが……これって、なにか怪しくないですか?」
確かに、多数の死者を出した高速列車事故で、事故車両を埋めようとする国である。中国経済のバブル崩壊よりも、国家に対する信用崩壊のほうが先にやってくるのもうなずける。「ウィキリークスが(中国政府のインチキを)暴露なんてこともあるかも」(天海氏)というシナリオもなくはないと思えてしまうのだ。
「もし、中国という国に対する信用が崩れおちていったとき、中国株が今のように安値圏ならば下落幅は小さくなるかもしれない、しかしこの後、株価が復活した後だと具合が悪い。下落幅は大きくなる。復活後は、みな強気になりますから、『いやいや、そんなのは一時的なものだ』などとさらに買い進むのは危険ですよ。アメリカのサブプライムローン、古くは日本の平成バブル崩壊と同じ。実はマーケットはちゃんと危険サインを送っているのですから」
しかし、ピンチはチャンス。
「中国バブルが崩壊するとすべての株が下がる。中国の株式が下げて、日本に影響がないということはない。しばらくの時を経て、そこが絶好の買い場になる」
果たして、どうなる!? そして、そのとき、どうする!?
【天海源一郎】
てんかいげんいちろう/1968年、大阪市生まれ。関西大学社会学部卒業後、ラジオNIKKEIを経て2004年に独立。個人投資家向けの執筆、講演などに精力的に取り組む。『夕刊フジ』にて「天海源一郎の木曜は株式フジ」(毎週木曜)連載するほか、HPで登録できる無料メルマガが好評を博している。http://www.tenkai.biz/
取材・文/小山武蔵 写真/Emile Bremmer from flickr
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